意味を持つのは取引、自尊心、そして個人的な忠誠心

実は、外交や国際政治の概念でトランプを分析しても正しい理解は得られない。ジェームズ・コミー元FBI長官の言葉が核心を突いている。「トランプのリーダーシップで大きな意味を持つのは、取引、自尊心、そして個人的な忠誠心だ。私が昔、マフィアのボスを摘発していた頃を思い出す」

トランプは、過ぎ去りし時代の世界観の持ち主と言える。その世界観の下では、権力と地位の土台を成すのは名誉と敬意であり、力関係を確立するのは暴力的な言葉と物理的な暴力。庇護と忠誠を通じて関係は強化される。ただし、格下の側は恩を忘れず、立場をわきまえなくてはならない。

トランプがロシアのプーチン大統領のような強権型の人物と接近する理由はここにある。トランプ流の世界観においては、強権的なリーダー以外は「弱者」にすぎず、民主主義は、弱者が強者に足かせをはめる手段と見なされるのだ。

トランプを大統領執務室のアル・カポネだと考えれば、ベネズエラやイランに対する姿勢も、「勢力圏」や「勢力均衡」に関する主張も全てつじつまが合う。トランプの世界では、政策は二者間の「ディール(取引)」に終始し、プーチンやイーロン・マスク、ジェフ・ベゾスといった強権型の人物だけが、ボスであるトランプとのディールを通じて恩恵を得ることができる。

政策として追求したい目標はない