<「炭鉱犬」としての貴重な才能を受け継いだ子犬たち、それぞれ個性が光るビジネスパートナーに育ってほしい>

カナダのサスカチワン州で育った私は10代の頃、父の友人でもある有名な探鉱家から手ほどきを受け、現在は地元で鉱物探査と石油生産の会社を経営している。

冬はたいてい、会社がメキシコのハリスコ州に所有している銀の採掘場に行く。そこでシドニーに出会った。生後10週間くらいの子犬で、ほかのきょうだいは毒入りの餌で処分されていた。

あれから13年。彼女はずっと私のそばにいる。

シドニーが6歳のとき、夜中に散歩をしていたら、地面の下にあるボールを嗅ぎつけて穴を掘り始めた。ボールの代わりに硫化物の臭いを教えれば探鉱ができるかもしれないと、私はひらめいた。

探鉱は飛行機で上空から地球物理学的な情報を収集し、異常なデータ、つまりニッケルや銅、金など硫化物がある可能性が見つかると、現地を歩いて調査する。私はシドニーが硫化物の臭いを嗅ぎ分けられるように訓練し、調査に連れて行くようになった。

それなりに賢い犬なら、シドニーと同じことができると思っていた。でも、それは大きな勘違いだったのだ。

シドニーはオーストラリアン・キャトル・ドッグのように見えるが、DNA検査の結果、7つ以上の犬種が混ざっていることが分かった。繁殖で第2のシドニーを誕生させることは無理そうだった。

シドニーのクローンをつくろうと考え始めたのは2018年で、当時は韓国に行くしかなかった。そして19年に、テキサス州のバイアジェンという会社を見つけた。獣医にシドニーの生検をしてもらい、組織のサンプルを作成してバイアジェンに送った。費用は5万ドル。21年の秋に1匹の子犬が私たちの元に来ることになった。

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シドニーとの運命の出会いがオリビアとフィオナ(写真)を連れてきてくれた COURTESY OF ERIN MCFARLAND

それぞれに個性や癖がある

そして21年7月9日、「子犬たち」が産まれたという連絡に、私は驚いた。

シドニー、オリビア、フィオナは遺伝子的に同じ3匹だ。シドニーは自分の特徴を子犬たちに教え込んでいるが、2匹はそれぞれ個性や癖がある。

オリビアは甘えん坊で恥ずかしがり屋。フィオナは元気が有り余ってる。体はオリビアのほうが大きく、フィオナは「普通に産まれた」子犬と比べても特に小さい。フィオナはソファに飛び乗ってクッションを放り投げる。オリビアはベッドの上が大好きだ。

2匹の小さなシドニーたち
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