「道で仏陀に出会ったら殺しなさい」

グループセラピーに参加する前、ドクター・ローセンとの2回目の個人セラピーでクリスティはこう告げられる。「道で仏陀に出会ったら殺しなさい」

その言葉の真意は、「セラピストも患者と変わらない必死に生きている人間にすぎないと知っておくべきだ」ということだ。

たとえ有能なセラピストであっても、常に正しい答えを持っているわけではない。大切なのは、いつでも自分の感情を尊重することなのである。

ボーイフレンドとの関係や子どもの頃のトラウマに悩むクリスティに、グループセラピーは、断ち切る必要のあることを露わにして見せる。

人の手を借りることは決して無駄でも悪いことでもないが、他者に答えを求めないこと。問題から目を背けるのではなく、受け入れること。それができるのはほかの誰でもない、自分自身であること。

このことに気がつけたとき、見える景色が変わっていくことをドクター・ローセンは教えてくれる。

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fizkes-iStock.

「飢えている人は、最初のひと口を食べて初めて飢える」

「飢えている人は、最初のひと口を食べて初めて飢える」。そんな比喩をドクター・ローセンは口にする。

グループセラピーに参加したらどうなるの?というクリスティの質問に、ドクター・ローセンの答えは「これまでにないほど孤独を感じるようになります」。グループの一員になることで、自分がどれほど孤独だったかわかるはずだと言うのだ。

クリスティの心の底にあるのは、自分の存在を肯定してほしいという願望だ。しかし、他人と親密な関係を築きたいと思うならば、あらゆる息苦しさを感じる必要がある。そのためには、まるでつるつるの心に傷をつけていくように、多くの孤独、不安、怒り、恐怖を経験しなければならない。

もちろん、一足飛びに心の癖は治らない。グループセラピーの一歩外に出てしまえば、自分をさらけ出すことができず、恋人との関係をうまくつくれなかったり、答えを求めても煮え切らない反応のドクター・ローセンの反応にキレてみたり。

それはまるで絡まったネックレスを慎重にほぐしていくようなものだ。と同時に、埒が開かず、ネックレスを引きちぎりたくなる衝動も起こる。その繰り返しだ。

しかし、友情、家族、セックス、デート、恋愛、トラウマ......人生のすべてをグループのメンバー全員とシェアし、ドクター・ローセンの出す奇妙な課題に必死に答えていくことで、本当に心許せる人間関係を築いていくクリスティ。

彼女の奮闘の記録をたどることで、生きる勇気が湧いてくる。

心の健康に近道はない。しかし、自分自身で見つけた道はそう簡単に消えたりしない。本書は、「読むグループセラピー」として、あなたの人生のバイブルになる可能性を秘めている。

GROUP! 心がぐちゃぐちゃな私を救ったグループセラピーの記録』

 クリスティ・テート 著

 春田純子 訳

 CCCメディアハウス

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