そうではなく、ルールを語ればいい。

いい例が1月にロシアを訪問したドイツのアンナレーナ・ベーアボック外相だ。彼女が語る正論に、ロシアの外相セルゲイ・ラブロフはたじろいだ。まずい、この議論だとロシアはのけ者にされ、大国の地位を脅かされると気付いたのだろう。

3つ目。プーチンが何を望んでいるのかを、もっと真剣に考慮する必要がある。

もちろん彼の勝手な振る舞いは許せないが、多少ともまともに振る舞えば、褒美を与えてもいい。

例えば、彼はアメリカ大統領と一緒に対等な立場でステージに上がり、その雄姿をロシア国民に見せつけたいと思っている。ならば、彼が行いを改めない限り首脳会談には応じないと(もちろん水面下で、しかしきっぱりと)通告すればいい。

つまり信賞必罰。その意味するところはプーチンもよく理解しているはずだ。

「売れるものをただでやるな」は、そもそもロシア外交の伝統だ。肝心なのは、全てを水面下でやること。そうすればプーチンは、メンツをつぶされることなく行いを改められる。

ただ、こうして考えると別な疑問が湧いてくる。そもそも効果的な外交は公の場で可能なのか?

今は何でも筒抜けで、重大な交渉を内密に進めることは不可能に近い。おかげで透明性と責任が担保されるのは事実だが、微妙な調整や賢い戦略はやりにくくなる。

プーチンを勝たせてはいけない。その代償を払うのは西側の私たちなのだから。

From Foreign Policy Magazine

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