衝撃の展開だった。ボートクルーVIは、新しいリーダーを迎えたこと以外、何もかも同じ状況なのに、クラス最悪のチームから最高のチームに変わった。罵り合いもイライラも、もうどこかへ消えていた。

驚くほどの変化をこの目で見なければ、私も「嘘だろ?」と疑っていたかもしれない。だがそれは、「究極の責任感」の核となる基本的かつ重要な真実を示す、決定的な実例だった。

そう、出来の悪いチームなどない。出来の悪いリーダーがいるだけだ。

なぜこんなことができたのだろう? たった1人――「リーダー」ーーを入れ替えただけで、チーム全体の成績ががらりと変わるなんて。

答えを言おう。リーダーシップは、あらゆるチームの成績をつかさどる、唯一最大の要素だからだ。チームの成功も失敗も、全てリーダーに懸かっている。

リーダーの姿勢が、チーム全体の雰囲気をつくる。成績が伸びるのも、伸び悩むのも、リーダー次第なのだ。これはチーム全体をまとめるトップのリーダーだけでなく、チーム内の小さなチームを仕切る若手のリーダーにも当てはまる。

私自身が「地獄週間」でボートクルー・リーダーを務めた経験を振り返ると、失敗して力を出し切れなかった日も、成功した日もあった。

私のボートクルーも時折成績が伸びずに苦しんだが、それは私自身が「ボートの先頭の一番難しいポジションに就いて、リーダーシップを発揮するべきだ」と気付くまでの話だった。

勝つためには、クルーを激しく、本人たちが「やれる」と思っている以上に駆り立てなくてはならない。

あのとき気付いたのだ。先のことや遠くて見えないゴールではなく、目の前の具体的な目標――100メートル先の海岸標識や陸標や道路標識――を目指させたほうがはるかに効果的だ、と。

※第3回:映画『アメリカン・スナイパー』のネイビー・シールズ狙撃手と上官の、「殺害」プレッシャーの局面

米海軍特殊部隊(ネイビー・シールズ)

 伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ』

 ジョッコ・ウィリンク、リーフ・バビン 著

 長澤あかね 翻訳

 CCCメディアハウス

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