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「ブルーザー」隊員らが敵の占領地上空を旋回する米軍ヘリを見つめる COURTESY OF JOCKO WILLINK AND LEIF BABIN

合計約300名の米軍とイラク軍が、ラマディ東部のマラアブ地区で任務に就いていた。その地区全体が、米軍が「ムージ」と呼ぶムジャヒディン(アラビア語で「聖戦〔ジハード〕を遂行する者」の意味)たちの巣窟だった。

もう何年もマラアブは彼らの掌中に収まっているが、米軍は今、それを変えようとしている。作戦の開始からわずか数時間のうちに、シールズ狙撃分隊はどちらも攻撃を受け、深刻な銃撃戦に巻き込まれていた。

イラク兵と米陸軍兵士とシールズから成る分隊は、その地区全体の建物から敵を排除していくなかで、激しい抵抗に遭った。何十人もの武装勢力の戦闘員が、ロシア製ベルト給弾式機関銃「PKC」や破壊的なRPG-7肩撃ち式ロケット擲弾発射器、さらにはAK-47自動小銃で猛攻を仕掛けてきた。

無線をチェックしたところ、イラク陸軍の分隊と行動を共にする米軍アドバイザーが、ほかの分隊よりも早く、「激しい銃撃戦を展開中だ」と報告し、QRF(緊急即応部隊)に支援を要請していた。

その数分後、無線で、シールズ狙撃チームの1つが「集中的なQRFを!」と支援を求めた。つまり、120ミリの主砲と機関銃の圧倒的な火力で支えてくれる、米軍のM1A2エイブラムス主力戦闘戦車2台を要請したのだ。要するに、シールズは苦戦していて、相当な助けを必要としている。

私たちのハンヴィーは、エイブラムス戦車のうち1台のすぐ後ろにゆっくりと停車した。戦車の巨大な主砲は真っすぐにある建物に向けられ、交戦の準備を整えている。

私はハンヴィーの重装甲ドアを押し開けて、通りへ踏み出した。「何かがおかしい」と直感したからだ。

イラクの家はたいていそうだが、家の周りには高さ2.5メートルほどのコンクリートの壁がある。敷地に入ろうと壁の扉に近づくと、薄く開いている。M4カービンを構え、扉を大きく蹴破ると、そこにいたのはなんと、シールズ小隊長の1人だった。

彼も大きく目を見開いて、私をじっと見返している。「何があったんだ?」と私。

「ムージが何人か、この中にいます。1人撃ちましたが、こちらも攻撃されました。強硬派ですね。激しく抵抗されましたよ」

私は、1等軍曹が先ほど言ったことを思い出した。仲間のイラク兵が1人、敷地に足を踏み入れて撃たれたと。

その瞬間、何もかもがはっきりした。――この大混乱のなか、勝手な行動を取るイラク兵の分隊が、入ってはならないエリアにふらふらと踏み込んで、シールズ狙撃チームが占拠した建物に入ろうとした。

早朝でまだ暗いなか、シールズ狙撃分隊は、AK-47で武装した男が敷地内に忍び込むシルエットを目にした。まだ味方部隊が到着する時間帯ではない上に、敵の戦闘員が付近に大勢いることは知られていたから、シールズは攻撃されると考えて、AK-47を持つ男と交戦した。

ここから、さらにとんでもない事態に陥った
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