たとえば友人からAmazonギフト券をもらった場合、それがもし転売されたギフト券であれば受け取った側が停止される可能性があることになります。友人がどこから入手したかを聞くことはできないでしょうからとても怖い事態です。

そのため、自分のKindleを守るためには、ギフト券の扱いに慎重になるべきです。出所不明のギフト券、たとえばAmazonでの購入トラブル時にショップからお詫わびとして送られてくるギフト券は使わない、などの配慮が必要です。

電子書籍の所有権を売買する新たな取り組みも

このように電子書籍ストアの利用ではリスクが常につきまといます。

解決する手法としては、最近話題のNFT(Non-Fungible Token)を使った電子書籍販売があります。NFTとは非代替性トークンと呼ばれるもので、デジタルアートや写真・動画などの鑑定書・所有証明書になるデータを指します。暗号資産(仮想通貨)と同じブロックチェーン技術を使うことで、「唯一無二のもの」として証明でき、かつ誰がいつどこから入手したのかも証明できます。

このNFTを電子書籍に導入することで、電子書籍の「所有権」を売買しようという動きが始まっています。日本では株式会社Gaudiyとコミックスマート社が「NFT×電子書籍」という取り組みを始めています。

今までの電子書籍は利用権のみでしたが、NFTによって「所有権」が発生します。ユーザーは電子書籍の所有権を持つことができ、売買も可能になるのです。紙の本と同じ様に所有権があるのですから、アカウント停止やサービス停止があっても利用できる可能性が高くなります。また二次販売でも元の著作権者に収益を還元するしくみを実現できるため、ユーザーにとっても著作権者にとってもプラスでしょう。

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株式会社Gaudiyとコミックスマート社によるNFTを使った電子書籍の流通システム

とても素晴らしいしくみですが、問題は対応する電子書籍ストアがあるかどうかです。電子書籍最大手のKindleが対応してくれればいいのですが、まだわかりません。

理想はこの電子書籍のNFT化ですが、それが実現・普及するまでは従来の方法を取るしかないでしょう。長期保存したい書籍は紙の本にし、それ以外は電子書籍で読むといった使い分けに加え、利用する電子書籍ストアの規約をよく読み、アカウント停止にならないようにギフト券などの扱いに慎重になること。消極的な対策ではありますが、今のところこの方法で進めるしかないようです。

三上 洋(みかみ・よう)

ITジャーナリスト
ITセキュリティやスマートフォン業界に精通するITジャーナリスト。守備範囲はウイルスからネット炎上まで多岐にわたる。

※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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