しかし、このようにKポップを支える振付師の仕事は、流行発信の原動力であるにもかかわらず、彼らがデザインしたダンスの人気とは不釣り合いな低い評価しか受けていない。韓国の音楽業界は全体として、韓国のエンターテインメントを世界に知らしめた振付師の功績を、公式に評価して認めるべきではないか。

昨年1年間の韓国のさまざまな音楽賞授賞式を見ても、振付師に特化した部門や賞はほとんどない。ダンス関連の賞は数多くあるが、対象は振付師ではなく、振り付けを踊るパフォーマーだ。

グループが振付師と一緒にダンスを練習する様子が注目を浴びるようになったのは、ようやく最近のことだ。19年の「YouTube・Rewind」の「最も好まれたダンス動画」では、ガールズグループMAMAMOO(ママム)のヒット曲「gogobebe」のダンス練習動画が3位にランクインした。ソウルの人気ダンススタジオ「1ミリオン」の有名振付師ミナ・ミョンをフィーチャーした練習動画の再生回数は5000万回。「gogobebe」の公式MVは5800万回に上る。

(MAMAMOO「gogobebe」の練習動画)

女性アイドルグループのレッド・ベルベットの「Psycho」は、ロサンゼルス仕込みの15歳のダンサー、ベイリー・ソクが振り付けを担当して話題となり、注目を集めた。

とはいえ、Kポップのほとんどのレーベルはミュージックビデオに振付師の名前を出さず、スタッフとしてのクレジットもない。ソン・ソンドゥク(BTSの振り付けを担当)、ミナ・ミョン、リア・キム(TWICEやママムの振り付けを担当)、ベイリー・ソクなどの名前は、世界のダンス界ではよく知られているものの、彼らが演出するKポップのスーパースターに比べればちっぽけな存在だ。

今のところ頼りになりそうなのはファンの声だ。Kポップの振り付けを見て、練習して、実際に踊る彼らなら、振付師に対する正当な評価を主張できるはずだ。

(BTS「Dynamite」の練習動画)

From thediplomat.com

<本誌2020年12月1日号掲載>

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