──サックス奏者としての道を歩んでいたなか、歌に対して関心が向かっていったのは何がきっかけだったんですか?
「高校のとき、文化祭のミュージカルで歌ったのが最初だったんです。人前で歌うのが苦手だったんですけど、同じ高校に通っていた姉もミュージカルで歌っていて、その姿に憧れたんですね。でも、人前で歌うのが苦手だったので、最初はサックスを吹くような感覚で歌おうとしていました。サックスって人間の声に一番近い楽器とも言われていて、音と声の出し方って似てるんですよ」
──ただ、サックスと歌の一番の違いは歌には言葉があり、メッセージが含まれるということですよね。
「そうですね。最初は英語で歌うほうが楽だったんですよ。『Jupiter』でデビューすることになって日本語で歌う難しさに改めて直面して......でも、日本人としては日本語で歌を届けたいと思ったし、とにかく練習しましたね」

──今の平原さんにとって、クラシックとはどういう存在なんですか?
「人生の一番大切なときに助けてくれた恩人だと思っています。デビューのきっかけとなった文化祭のミュージカルでもベートーヴェンの"第九"の第四楽章を歌いましたし、デビュー曲もホルストの『Jupiter』。自分の転機にはいつもクラシックがあったんですよ」
──今年の3月から4月にかけてはミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』にも出演されましたね。
「ミュージカルがきっかけでデビューしたといっても学生の文化祭ですから、いつかキチンとミュージカルをやってみたいと思っていたんですね。だから、すごく楽しかった。オペラの発声法も分からなかったので、動画サイトでいろんなオペラ歌手の方の発声法を勉強しましたし、本当にいろんな経験をさせてもらいました」
──普段の活動へのフィードバックもあるんじゃないですか?
「そうですね。普段の自分の歌も歌いやすくなりました。自分で作っておいてナンなんですけど、私の歌って歌いにくいものが多くて(笑)。でも、ミュージカルって寝転がりながら歌うシーンなんかもあるんですね。どんな体勢でも歌えるようになると、普段のコンサートやレコーディングがすごく楽に感じるようになったんです」