与党ANCについては、腐敗と親族びいきが一番の問題とされており、さまざまな団体がこれらの問題について憲法裁判所に訴え出てきた。

そしてこの国の司法が、選挙による政権交代を期待できる普通の民主主義国家より活動家寄りの判断を下してきたのも事実。だがそれは南アフリカ国民の民主主義を守ろうという決意の表れでもある。

このことを念頭に置いて考えれば、投票率の低さをさほど悲観する必要はない。しかしその背景にある失望の深さには、ANCだけでなく全ての政治家が心を寄せるべきではないか。

当座の選挙に勝ったラマポーザと与党ANCは、取りあえず勝利の美酒に酔ってよい。しかし新たな任期が始まれば、彼らが再び多くの抗議行動に直面するのはほぼ確実だ。投票所に行かなかった有権者は、今後も街頭で抗議行動を繰り広げることだろう。

この国の人たちは自分たちの権利を十分に知っている。選挙はもちろん大事だが、街頭で抗議するほうが戦術的にはもっと有効であることを。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2019年05月28日号掲載>

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