約25年前、銀行や発電所や鉄道、送電網といった重要インフラのオンライン管理が始まった時期なら、サイバー攻撃への意識が薄く、コスト削減と効率最大化を優先したネットワークが構築されたのは無理もないと思える。だが、サイバーセキュリティーの重要性が認識されるようになったとき、テクノロジー業界は「アメリカのイノベーションを窒息させる」として規制強化に強く反対した。

もはやそんな言い訳は通用しない。今やサイバー攻撃は日常茶飯事であり、サイバーセキュリティーはドル箱産業だ。それなのに企業も一部の国々も、5Gネットワークがもたらす多くの可能性をつぶすことを恐れ、徹底的な対策に二の足を踏んでいる。

その点、アメリカの企業と政府は、少なくともファーウェイのように明らかに悪質な業者を締め出すことにおいては、正しい措置を取っている。米企業は企業秘密の窃盗を含め、どの国の企業よりもサイバー攻撃の標的となり、そのダメージ緩和に大きな投資をしてきたから当然かもしれない。

だが外国の多くの企業や政府は、明白な脅威に見て見ぬふりを続けている。彼らに提案したいことは1つ。もし警告を発しているのが、トランプ以外のアメリカ大統領だったらどう受け止めただろう。それを考えることが現実に目を向ける第一歩になるはずだ。

©2019 The Slate Group

<2019年5月21日号掲載>

※この記事は本誌「米中衝突の核心企業:ファーウェイの正体」特集より。詳しくは本誌をご覧ください。

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ドナルド・トランプ米大統領が、珍しく正しいことをしている。次世代通信規格5Gのネットワーク整備事業から、中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)を排除し、同盟国にも同様の措置を取るよう働き掛けているのだ。
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