トヨタの株価を押し下げている要因は複合的です。

第一に、中東情勢があります。アメリカとイランは戦闘停止で合意したと伝わりましたが、自動車生産や部品の供給網、さらにはナフサの供給に対する不安は根強く残っています。第二にトランプ政権による輸入関税の打撃、第三には原材料費の高騰や人件費などのコスト増が重くのしかかっています。

これらの要因により、トヨタは前期(2026年3月期)の営業利益が22%減となったほか、今期も純利益が3期連続の減益(3兆円)になるという厳しい見通しを発表せざるを得ませんでした。

減益下での経営陣の報酬増と新体制への移行

業績の不透明感が増す一方で、経営陣の動向も注目を集めています。

会社が3期連続の減益を見込む中、豊田章男会長の前期(2026年3月期)の役員報酬総額は前の期から8.4%増加し、21億1300万円となりました。固定報酬はほぼ横ばいだったものの、業績連動報酬である賞与が6億2000万円、株式報酬が10億9700万円へと大幅に伸びたことが主な要因です。

こうした激動の経営環境を乗り切るため、トヨタは今年4月にトップ交代を実施しました。前期まで社長を務めた佐藤恒治氏は副会長に退き、新たに経理畑出身の近健太氏が新社長に就任。近新体制のもとで、損益分岐台数の引き下げなどによる徹底した体質強化を目指す構えです。

また、アクティビスト(物言う株主)からの株主還元要求も強まっており、先行きが読みにくい事業環境下でいかに稼ぐ力を安定させ、株主に説明していくかが新体制の大きな課題となっています。

機関投資家不在の穴を埋める個人株主の存在

機関投資家がトヨタ株を敬遠する中、株価の下支えとなっているのが個人投資家の存在です。

トヨタの株主数は1年間で約8万7000人増加し、127万人を超えました。株価の下落によってPBRが1倍を割るほどの割安感が生じたことに加え、2025年から導入された新たな株主優待制度など、個人投資家の開拓策が功を奏した結果とみられています。

グループの勢力図を塗り替える新たな動き
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