[ブニア(コンゴ民主共和国) 30日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は30日、エボラ出血熱の感染拡大が最も深刻なコンゴ民主共和国(旧ザイール)東部のイトゥリ州を訪れ、住民に対して治療を受けることと安全な埋葬を実践することを呼びかけた。
テドロス氏はコンゴのカンバ保健相との共同記者会見で、希少な「ブンディブギョ株」には承認されたワクチンや治療薬がないため、隔離、水分補給、痛み管理を含む早期の緩和ケアが極めて重要だと説明。「早期にケアを受けることが、大きな違いを生む」と訴えた。
またエボラ犠牲者の遺体は感染力が非常に強いと警告し、住民に安全な埋葬を実践するよう促した上で「大切な人を失うことがどれほど辛いことか、そして彼らを適切に供養することがどれほど大きな意味を持つかは理解している」と断りつつも、「失った人々を悼む一方で、これ以上犠牲者を出さないためにできる限りのことをしなければならない」と付け加えた。
こうした発言の背景には、伝統的な埋葬をするために遺体を取り戻そうとする群衆による保健施設への攻撃が既に複数発生しているという事情がある。伝統的埋葬では、家族が適切な防護具なしで遺体に触れている。
WHOは29日、コンゴで906人のエボラ疑い例があり、その中には調査中の223人の死亡疑い例が含まれていると発表した。
国際組織、国境なき医師団(MSF)は30日に対応が不十分だと警告を発し、オペレーション副ディレクターを務めるアラン・ゴンサレス博士は声明で「流行宣言からこれほど短期間で多くの症例が記録されたエボラの流行はかつてなかった」と述べた。
ゴンサレス氏は「被災地の誰もがそうであるように、MSFのチームも、流行の急速な拡大にいまだ追い付いていない対応を目の当たりにしている」と指摘。現地の医療組織の数と支援のレベルは、必要とされるものには依然として遠く及ばないとの見方を示した。
一方カンバ保健相はテドロス氏の訪問に先立ち、28日の会見で感染拡大が「制御不能」であることを示唆する報道を否定している。
MSFが「数百の検体が未検査のままだ」と述べているにもかかわらず、カンバ氏は保健当局には検査のニーズを満たす十分なリソースがあると強調した。
カンバ氏は、昨年発生した小規模な流行を含むコンゴのエボラ対応の経験がこの病気の封じ込めに役立つだろうと述べ、隣国は国境を開放しておくべきだと主張。「われわれには流行への対応経験がある。昨年もエボラに勝利した。われわれを信じてほしい、自分たちが何をすべきか分かっている」と語った。