[フランクフルト 27日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は27日に金融安定報告を発表、イラン戦争や長引く貿易摩擦がユーロ圏の経済成長を押し下げる一方で借り入れコストを押し上げ、一部の加盟国の財政維持能力を脅かす可能性があるとの見方を示した。

金融市場はイラン戦争の影響を概ね軽視しており、株価は割高水準で推移、企業の借り入れコストは低く、ユーロ圏内の国債利回り格差も低水準にとどまっている。このため市場がリスクに対して過度に楽観的との懸念を強めている。

ECBは半年毎の報告で、「持続的なエネルギーショックによる著しい景気減速のシナリオは、財政持続可能性の再評価とソブリン債市場での急激な再評価の引き金になる可能性がある」と指摘。このような再評価は企業の借り入れコストを押し上げ、金融の安定を脅かし実体経済に打撃を与える可能性がある。

「防衛支出、グリーン移行、エネルギー価格上昇から家計や企業を守るための財政措置など、ソブリンファイナンスへの高い需要は、中期的には圧力をさらに強める可能性が高い」とした。

国債市場でのヘッジファンドのエクスポージャーは増加しており、問題を複雑にしている。ヘッジファンドの存在は通常は流動性を高めるが、しばしば高レバレッジをかけているため価格変動が市場センチメントの変化に敏感に反応しやすくなっていると指摘した。

債券市場での売りが発生した場合、比較的透明性の低い非銀行系金融仲介機関により事態が悪化する可能性もある。こうした機関は流動性が低い一方レバレッジは高く、規制も緩やかだ。

ECBは、これら仲介機関は銀行など広範に関係があり、健全な銀行セクターに悪影響を及ぼす可能性があると指摘。「こうした相互に密接に結びついたリスクが同時に顕在化し、互いに増幅し合う可能性が高まることで、金融安定に対するリスクが増大する」とした。

また米国の債務持続可能性に対する懸念が欧州に波及する可能性もあると表明。AI関連企業が債務ファイナンスへの依存度を高めていることに対する懸念が市場から示されているとし、これには注意を払う必要もあると指摘した。

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