Leika Kihara
[東京 27日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は27日、連邦準備理事会(FRB)は強まりつつあるとみられるインフレリスクの抑制に注力しなければならないとしつつ、市場が10月の利上げを織り込んでいるとはいえ次回の金利変更時期を予測するには「あまりに時期尚早」との見方を示した。
また、中東戦争から世界中に波及した「インフレの衝撃波」が持続する可能性があり、その懸念が債券市場にも波及しつつあると述べた。
東京でロイターのインタビューに応じ、「ここ5年間、世界中で高インフレが続いており、イラン紛争がエネルギー価格や関連価格を押し上げている。これは実質的に世界中の経済に影響を及ぼしている」と指摘。「これがインフレに対する懸念の多くを説明できると思う。そして、それは当然ながら債券市場にも波及する」と語った。
中東情勢の米経済への影響を考えた場合、雇用情勢悪化のリスクよりもインフレのリスクの方が高いとみられるとした。ただFRBは「双方に注意を払わなければならない」と述べた。
米国の雇用市場は「まずまずの状態」にある一方、インフレは日常的に直面している現実の問題で、エネルギー価格の上昇は時間差をもって経済の他の分野にも波及するとみられると指摘。「もう1つ非常に重要な要素は高インフレが5年間にわたっているということだ」とし、本来なら一時的な供給ショックとされるものの看過する余地を狭めていると語った。こうした根強い物価圧力に対応しなければ、FRBがインフレを目標に戻すことに本気で取り組んでいないとの認識を助長するリスクがあるとした。
<利上げ時期の予測は時期尚早>
カシュカリ氏は4月のFRBの金利据え置き決定には賛成したが、次の動きが利下げになる可能性を示唆するハト派的ガイダンス維持には反対した1人。
FRBは今後のデータ次第で金利が上下どちらにも動き得ることを示す中立的なガイダンスを示すべきだとした上で、4月の反対以降の「データの多くはインフレリスクが低下ではなく上昇していることを示していると思う」と語った。
米国とイランの間で速やかに合意が成立したとしても、供給網が正常化するには数カ月かかるため、インフレへの影響はしばらく続く可能性が高いと述べた。さらに、各国が石油備蓄補充を急ぐことで価格に上方圧力がかかり、世界的にインフレ圧力が長期化する公算が大きいとした。
タカ派的ではなく中立的なトーンを示す表現を依然支持するかと問われ、「今のところはそうだ。(イラン関連で)何が起きるかを見極める必要がある。交渉は行われており、毎日のようにニュースが出ている。最終的にどこに落ち着くかを見なければならない」と答えた。
エネルギーショックがインフレ圧力に拍車をかけるなか市場は10月のFRB利上げの可能性を織り込んでいる点についての問いには、「次の動きがいつになるかについて予測を立てるのは、あまりにも時期尚早だと思う。(米・イラン)交渉がどうなるか、世界の供給網がどう反応するかを見極めたい」と語った。
ウォーシュ新議長の下でのFRBの政策決定についての質問に対し、連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは経済と政策に関する同議長の見解を聞くことを楽しみにしていると指摘。その上で「全員が自分自身の経済の見方と適切と考えるものに基づいて投票することを確信している。最終的には最良のアイデアが委員会を説得することになるだろう」と語った。
巨額の公的債務を巡る懸念は、日米を含む債券市場の不安定さを継続させる可能性があるとし、日本は巨額の債務を抱えているが大部分を国内投資家が保有していることから、他国と比べて安全な立場にあるかもしれないと述べた。
米国については、経済ファンダメンタルズは強いが財政は長期的に「持続不可能」な道筋にあり、最終的には政治家が修正する必要があるとの見方を示した。
債務に起因する金融危機の明確な兆候は今のところないとした上で、「金融市場では不安定化を招く突発的な動きが起こり得ることも理解している」と述べた。