Kentaro Okasaka

[東京 22日 ロイター] - 不動産担保や経営者保証に依存せず、技術力や顧客基盤といった事業の将来性を評価して融資を行う「企業価値担保権」制度が25日に導入される。同日施行される「事業性融資の推進等に関する法律」に基づくもので、スタートアップや、新分野に進出する「第二創業」などへの資金供給を円滑化させる狙い。金融機関は企業の成長性に対する目利きが問われる。

みずほ銀行は第1号として、からあげ専門店「がブリチキン。」を展開するブルームダイニングサービス(名古屋市)に近く融資を行う方針。金融庁は「事業性融資にあたっては、事業者だけでなく、金融機関にも新しい挑戦が必要。一定の試行錯誤が想定されるものの、失敗を過度に恐れることなく、改善を積み重ね、挑戦を続けていくことが重要」とし、銀行などに積極的な活用と意識改革を促している。

日本はかつての金融危機や不良債権処理の経験から、財務状況や不動産担保を重視する融資が定着し、有形資産に乏しいスタートアップなどへの融資が難しい状況にある。足元で国内の設備投資需要が回復傾向にある中、法的インフラの整備を通じ、事業が生み出す将来のキャッシュフローを重視する融資実務への移行を後押しする。金融庁は「財務上は赤字や債務超過であっても、しっかりした技術力やプロダクトがあり、将来計画が描けるのであれば融資もできる」と説明する。

企業側としては資金調達の新たな道が開かれる一方、金融機関による事業のモニタリングが強まり、早期の事業改善や経営悪化時の迅速な支援・事業再生が進むと期待されている。

債務弁済が滞った場合は、再建のスポンサーが事業を一体として承継し、金融機関などは事業売却の対価から融資を回収する。

政府は近く金融担当相や経済産業相、財務相らで構成する「事業性融資推進本部」を立ち上げ、制度定着に向けた基本方針を決定する。

金融庁の伊藤豊長官は3月、ロイターのインタビューに、「企業の成長に結びつくためのお金を供給するのは銀行の役割。そのための一つの道具を提供するということだ」と指摘。スタートアップや地方の成長企業への企業価値担保権制度を活用した融資拡大に強い期待を示していた。

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