Kentaro Okasaka

[東京 14日 ロイター] - 米新興企業アンソロピックの新型AI(人工知能)「ミュトス」による金融システムに対する脅威への対策を検討する官民連携会議の作業部会が14日、初会合を開いた。金融庁によると、メガバンクや業界団体、日銀のほかアンソロピックやオープンAIの日本法人、金融向けシステムに携わるITベンダーなど計36の企業や組織がメンバー。

金融庁が事務局を担い、みずほフィナンシャルグループ常務の寺井理・情報セキュリティ担当(グループCISO)が座長役を務める。

会合は非公開で実施。金融庁は、内容についてはサイバーセキュリティーに関する内容を含むため非公表としている。片山さつき金融相は12日の閣議後会見で「金融業界とIT企業、政府、日本銀行などがAI技術の進展による脅威について共通の理解を持ち、対応を検討するため、実務者レベルでの議論を深めることを期待をしている」と述べていた。

出席者の一人は報道陣に「騒ぎすぎず、落ち着いて見ていければと思っている」と語った。

米国では、アンソロピックは防御的なサイバーセキュリティ⁠ー・イニ​シアティブ「プロジェクト​・グラスウィング」を立ち上げ、限られた組織だけに対してクロー​ド・ミュトス・プレビューを防衛目的で提供している。日本のメガバンク3社も、ミュトスのアクセス権を取得する方向で調整していることがロイターの報道で分かっている。事情を知る関係者によると、2週間程度でアクセス権を取得できる見込みという。

金融庁によると、作業部会では脆弱性が露呈した際の実務対応や防御態勢、防ぎきれなかった際のコンティンジェンシー・プラン(緊急時対応計画)などの課題を検討するとしている。米国をはじめ関心を持つ海外の関係当局との連携や情報交換も想定している。

メガ3行のうち、三井住友フィナンシャルグループの中島達社長は13日の会見で、社内でワーキンググループを作って脆弱性の診断を始めているとし「相当高速でやらな​ければならない。当然、費用も人員も相当かかると思うが、優先的に経営資源配分をしても、しっかり対応​していく必要があると思っている」と述べている。

金融庁は、4月24日に三菱UFJ銀行やみずほ銀行、三井住友銀行幹部や日銀の植田和男総裁らが出席した「AI脅威に対する金融分野のサイバーセキュリティ対策強化に関する官民連携会議」を開催。サイバー攻撃を受ければ直ちに市場や信用不安に波及しかねず、作業部会を設置して協議を加速させることを確認していた。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。