ゴールデン・ドームをめぐる疑問
5月12日、政権に打撃となる形で、米議会予算局(アメリカの議員に予算面で助言する超党派機関)は、「ゴールデン・ドーム」の費用が今後20年間でおよそ1兆2000億ドルに上ると発表した。
これは、トランプが2025年1月の大統領令で発表したゴールデン・ドーム計画に対して、当初割り当てられた1750億ドルを大きく上回る。
計画はまだ最終決定されていないものの、ゴールデン・ドームは、脅威が米本土に到達する前に撃破することを目的とした、センサー、追跡装置、迎撃装置から成る精巧なネットワークとなる。
対象範囲はアメリカ本土、アラスカ、ハワイに及ぶと見込まれている。カナダはゴールデン・ドームの傘下に入るため協議を進めている。しかし、アメリカは以前、北の隣国であるカナダが参加するには数百億ドルを支払う必要があると述べている。
現在、アメリカとカナダ双方の長距離大陸間弾道ミサイルに対する防衛は、両国共同の北米航空宇宙防衛司令部、NORADが担っている。
ゴールデン・ドームには宇宙配備の兵器や早期警戒システムが含まれている。議会予算局によると、それらはミサイル防衛シールドの取得費用の最大70%を占めるという。
ゴールデン・ドームのような莫大な費用を要する計画に加え、大型艦艇の新たな艦級を建造するというアメリカ政府の計画は、政府が国防予算を1兆5,000億ドルに増額するよう求めている背景にある可能性が高い。
議会予算局の分析は、上院予算委員会の民主党筆頭委員であるオレゴン州選出のジェフ・マークリー上院議員の要請によるものだった。マークリーはゴールデン・ドームについて、納税者からかき集めた数十億ドルを浪費するものであることなどから、腐敗の影響を受けやすく、新たな軍拡競争に火をつける可能性が高いと批判している。
ゴールデン・ドームの支持者らは、宇宙空間にも一部を配備する防衛システムを構築できるほど技術は進歩しており、米国にはますます高度化する中国、ロシア、北朝鮮の兵器に対抗するため、より優れた防衛体制が必要だと主張している。
トランプはゴールデン・ドームについて、1980年代にロナルド・レーガン大統領が進めたが最終的にはうまくいかなかった「スター・ウォーズ」計画の流れをくむものだと位置づけている。