Phuong Nguyen Francesco Guarascio
[ハノイ 8日 ロイター] - ベトナム共産党はプロパガンダ戦略を刷新し、インフルエンサーや人工知能(AI)専門家を動員するとともに、ポッドキャストやターゲティング型コンテンツなど新たな手法を駆使することで思想統制を強める方針だ。ロイターが確認した内部文書で全容が明らかになった。
4月にまとめられた草案文書によると、2030年までに少なくとも1000人のインフルエンサーと5000人のAI専門家から成るネットワークを構築して「ポジティブな」コンテンツを拡散する。「有害な偽情報に対する『思想的な免疫』を社会全体に生み出す」ことが主な目的。急速な技術革新を背景に、共産党の思想を新世代に広げるには新たなアプローチが必要になったとしている。
AIを活用することで、党の指針を侵害するコンテンツの少なくとも90%を24時間以内に削除し、30年までにベトナムのオンライン言論空間の少なくとも80%を「ポジティブ」なものにする方針。ポッドキャスト、ショート動画、SNSや特定グループに対象を絞ったコンテンツなどを通じ、政策をよりシンプルに説明する計画を示した。
5月からは、政治指導者の活動をよりクリエイティブに報じるよう国営メディアに促す党指針も打ち出す。
あるインフルエンサーはロイターに対し、既に党による採用活動が始まっているが、自身は匿名性を保ちたいため断ったと明かした。
ベトナムは最高指導者であるトー・ラム共産党書記長の下、中国型の情報統制を進めている。当局は既に報道に指示を出しSNSを検閲することで言論を統制しているが、今後はさらに共産党による言論空間の掌握を強める方針だ。
こうした状況のベトナムは、メディアの自由度が常に世界最低レベルに位置づけられている。