Kate Abnett

[ブリュッセル 7日 ロイター] - 欧州連合(EU)はイラン情勢について、現時点では域内の旅行業界に緊急措置を発動する段階とみていない――。EUが近く航空会社や観光事業者、旅行者向けに近く公表する予定の指針原案をロイターが確認したところでは、こうした判断に基づいてフライト欠航時に旅客へ補償する義務を緩和する妥当性はない、と航空各社に伝える意向であることが分かった。

欧州の航空会社は、2月28日に米国・イスラエルによるイラン攻撃で戦争が始まって以降、ジェット燃料価格が約84%上昇したにもかかわらず、ヘッジ取引を通じたコスト軽減によってこれまでのところ危機を乗り切ってきた。しかし航空各社は、数週間以内に供給不足が発生する可能性があると警告している。

それでも指針原案は「現在の状況は、新型コロナウイルス禍の際とは異なり、観光業界向けの特別な措置の必要性を示すものではない。現段階では、利用可能なデータは観光業への全体的な影響が依然として限定的であり、需要は概ね堅調さを保っていることを示している」と説明している。

このため指針原案は、燃料価格が高騰しても、航空会社が欠航に伴う旅客への補償を回避できるだけの異常事態には該当しないと指摘した。ただし、現地での燃料不足はこれを正当化する可能性があるとも付け加えた。

欧州はジェット燃料の約75%を輸入(主に中東地域)に依存しており、この比率はどの輸送燃料よりも高い。

またEUは、中東からの供給に代替するのに役立つ場合、航空会社は欧州で広く使用されている燃料「ジェットA-1グレード」の代わりに、主に米国で使用されている「ジェットAグレード」を使用できることを改めて確認する方針だ。

ジェットA-1は、ジェットAよりも凝固点が低いため欧州で好まれているが、両グレードとも商用利用の認証を受けている。

指針原案は8日の公表前に内容が変更される可能性がある。EU欧州委員会の報道官は、この文書についてのコメントを拒否した。

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