Renju Jose Christine Chen
[シドニー 7日 ロイター] - オーストラリア政府は7日、エネルギー輸出企業に対し、東岸地域向けに20%の天然ガスを確保するよう義務付けると発表した。供給不足を回避し、エネルギー料金の引き下げを後押しすることが狙い。西岸の西オーストラリア州ではすでに独自の制度がある。
オリジン・エナジー、シェル、サントスがそれぞれ運営する東岸の3つの液化天然ガス(LNG)輸出プロジェクトが対象となる。2027年7月から適用され、既存の契約には影響しない。
政府は25年12月、国内で生産するガスの15─25%を国内向けに確保する案を提示していた。
ボーウェン・エネルギー相は会見で「国益を最優先する慎重に調整された制度だ」と述べ、国内市場で「緩やかな供給過剰」状態を作り出し、エネルギー価格を押し下げるのが狙いと説明した。
オーストラリアは世界有数のLNG輸出国で、国内消費量を上回る量を海外に輸出している。ただ、国内の大規模なガス田の大半は北西部に位置し、人口の多い南東部からは遠く離れている。
西オーストラリア州はすでに独自の供給確保制度を導入し、オフショア輸出事業に対し生産量の15%を国内に振り向けるよう義務付けている。
<ガス政策の「歴史的転換」、規制リスク台頭も>
キング資源相は、今回の制度はより広範なガス市場改革の一環で、東海岸の3つのLNGプラントからの輸出を政府が制限できるとする「オーストラリア国内ガス安全保障メカニズム(ADGSM)」の廃止も含まれると説明した。
政府は、輸出企業3社が未契約のガスを国際的に競争力のある条件で国内市場に提供するという協定も撤廃する。「本日は、オーストラリアの国内ガス市場政策における極めて重要かつ歴史的な構造転換の日だ」とキング氏は述べた。
アナリストからは、過去の契約が満了するにつれて、より多くの量が新制度の対象となるが、施策の影響を判断するのは難しいとの声が聞かれる。ケプラーのプリンシパルインサイトアナリスト、片山剛氏によれば、オーストラリアのLNG契約の「相当な量」が27年から29年にかけて満了を迎えるという。
MSTマーキーのアナリスト、ソール・カボニック氏は「これは議会でのガス税論議から目をそらすための予想外の政治的発表にすぎない」と述べた。
政府は最近、来週発表する予定の連邦予算にガス輸出税導入計画を盛り込むのを見送った。ガソリンや軽油などの燃料をオーストラリアに供給するアジアの貿易相手国との関係を損なう恐れがあるためだ。
今回の施策は投資家の規制リスク認識を高め、将来のLNGプロジェクトの魅力を低下させる可能性もある。ライスタッド・エナジーのシニアアナリスト、尾高昌典氏は、市場が中東のLNG供給を巡る不透明感に直面する状況で発表された施策で、オーストラリアのLNG供給の伸びが鈍化する可能性があるとの見方を示した。
一方、製造業団体マニュファクチャリング・オーストラリアのベン・イード最高経営責任者(CEO)は、この政策が「将来世代のための製造業投資、エネルギー転換、エネルギー安全保障を下支えする」として支持を表明した。