別の2つの実験ではスポーツ観戦を想定。ホッケーの観客は、自分の好きなチームの選手について、何の挑発もなくけんかが始まった場合よりも、暴力的な反則をした相手チームの選手を殴った場合、「道徳的に正しい」と判断した。

野球観戦のシナリオでは、自分のチームの投手が相手の打者に死球を与えたとして(重傷は負わせていない)、その前に自分たちのエース打者が死球を受けていた場合の方が、何もなかった場合よりも自分たちの投手に対するファンの支持は大きかった。

いずれのケースでも観客は、たとえ相手チームの勝利につながる反則や自分たちが窮地に陥る反則になると分かっていたとしても、そうした仕返し的行為を「正当かつ称賛できる」と評価した。

4番目の実験ではそうした許容の限界を試した。その結果、乱暴な態度が評価されるのは、最初に挑発してきた本人が相手だった場合に限られることが判明。無関係の第三者に「八つ当たり」した場合、傍観者には評価されなかった。

最後の実験は職場の電子メールでビジネスチームのメンバー同士がやり取りした場面を想定。1人の従業員が同僚のレポートを「頭悪い」「バカな間違いだらけ」と批判した。

これに対する返答として参加者に最も高く評価されたのは、「そんなことを言ってはいけない。それは良くない」という、明確だが丁寧な反応だった。しかし「黙れ。誰もあなたの言うことなど聞きたくない」といった無遠慮な返答も、中立的な返答に比べて評価は低くなかった。

総括すると、今回の研究は、乱暴な態度がどう受け止められるかはその前の状況次第で、場合によっては乱暴さが気高さとさえみなされることを示している。

Reference

Osborne, M. R., Abdurahman, S., Omrani, A., Trager, J. P., & Dehghani, M. (2026). Two wrongs is what makes it more right: How retaliatory incivility receives social leniency. Journal of Experimental Social Psychology, 125. https://doi.org/10.1016/j.jesp.2026.104913

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