David Lawder
[ワシントン 14日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は14日のインタビューで、長期化するイラン戦争によって引き起こされるインフレを抑制するため、各中央銀行はパンデミック(新型コロナ大流行)後の物価高騰を抑制するために行ったよりもはるかに大きな経済的痛みを課す必要があるかもしれないと述べた。
一方、石油ショックが影響を及ぼす経済範囲はずっと小さく、過去50年間で中銀はインフレ期待の抑制においてはるかに巧みになっているため、世界経済は1970年代のような賃金・物価インフレの局面に直面しているわけではないともした。
グランシャ氏は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻で原油価格が1バレル=100ドルを超えた際、既に過熱していたパンデミック後の経済環境下では、わずかな利上げでも需要を抑制するのに十分だったと説明。現在は、労働市場の低迷やほとんどの財・サービスの供給過剰など、はるかに多くのスラック(余剰)が存在するため、特にインフレ期待が不安定になった場合には、より強力な金融引き締め政策が必要になる可能性があるとの認識を示した。
「このような状況下でブレーキをかけるのは痛みを伴うだろう」と指摘。「同じディスインフレ効果を得るには、もっと多くの痛みを与えなければならないかもしれない」と述べた。
しかし、紛争がどのように展開するか不透明であることを考慮すると、原油、ガス、その他の商品価格の上昇による影響に対抗するために、中銀がどれほど強力な措置を講じる必要があるかは、まだ全く不透明だとした。
IMFは14日、世界経済見通し(WEO)を発表。イラン紛争が短期間で終結し、26年通年の原油価格が平均82ドルとなることを前提とした最も楽観的な「標準シナリオ」では、26年の世界の成長率を3.1%と予測し、1月の前回予測から0.2%ポイント下方修正した。紛争が長期化し、26年の原油価格100ドル前後を想定する「悪化シナリオ」では、世界成長率は26年に2.5%に低下すると予測した。
グランシャ氏は記者会見で、世界経済は既に悪化シナリオへと向かっているとの見方を示した。
IMFはさらに、最も見通しが厳しい「深刻シナリオ」では、紛争が長期化・深刻化し、原油価格の大幅な上昇により金融市場に大規模な混乱が生じて金融環境が引き締まると想定。世界成長率は2.0%に落ち込むと予想した。
グランシャ氏は、「深刻シナリオ」で大きく懸念されるのはインフレ期待が動揺することだとし、22年のインフレショックを受けて人々は物価上昇に過敏になっていると分析。「インフレ期待の変化で各中銀はブレーキをかける必要が出てくるだろう」と語った。