1)エスカレーションの罠

エスカレーションの罠とは、シカゴ大学の政治学者ロバート・ペイプが示した概念で、抑止のための脅しが互いの本気度を試す挑発の応酬に変わり、事態が拡大していくことを示す。

イランが再びカタールを攻撃すれば米国はサウス・パース全体を「大規模に吹き飛ばす」とするトランプの警告は、典型的な瀬戸際戦術だ。

狙いは、相手に強い警戒心を抱かせ行動を思いとどまらせることだが、同時に「どこまでなら許されるか」を試す余地も与えてしまう。

実際、サウス・パースをめぐる一連の動きはすでに段階的な拡大の流れに入っている。イスラエルの攻撃は原油価格を押し上げ、イランは湾岸全域のエネルギー施設を標的にすると威嚇し、カタールやサウジアラビアにミサイルが飛来した。

エネルギーインフラや地域の主要都市が攻撃対象に入れば、抑止は報復の連鎖に変質し、指導者が弱腰と見られずにそれを止めることは難しくなる。

そして、それこそがイランおよびその代理勢力にとって有利な展開につながる。

2)同盟の罠