①円の実質実効為替レートに占める各国の通貨ウェイトの中で、アジア諸国の占める ウェイトが増え、かつそうした国の通貨が強くなっていること。

②さらに大きい理由は、日本で長く続いたデフレ状況。

たとえば、名目で円安が進むと、円の外国での購買力は低くなります。もし外国の方が日本よりインフレ率が高いと、円の外国での購買力はさらに低くなります。

実質実効為替レートは、通貨の購買力を示す指標であり、日本のデフレは円の実質実効為替レートをさらに押し下げるということになります。日本は、残念ながらなかなかデフレ状態を脱却できなかったため、このことが、実質実効為替レート安傾向につながった可能性があります。

しかし、状況は変わりつつあります。デフレが円の実質実効為替レートを下げた面がありますが、日本のインフレ率はすでに3%の水準です。日銀の利上げも始まりました。

そして、データについて客観的に述べれば、実質実効為替レートは、輸入の購買力を示すと共に、輸出の価格競争力を示すものであり、チャンスを生む側面もあるはずです。

ですから「国力の衰退」を嘆く前に、チャンスの方に目を向けること、チャンスを活かしきれていない面があればどうすれば良いかということを真剣に考え、前を向いた対応をすることが大切です。

大矢俊雄(おおやとしお)

DeNAチーフエコノミスト。元財務省審議官、元国際協力銀行常務取締役、元内閣官房内閣審議官。1986年大蔵省(現・財務省)入省。現在はDeNAチーフエコノミストを務める。著書に『霞が関官僚の英語格闘記「エイゴは、辛いよ。」』(東洋経済新報社)などがある。

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