「超早期」の服用が必要

レベチラセタムはニューロンによる情報伝達中にシナプス小胞を再利用するシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に結合。再利用の過程をわずかに遅らせ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)を細胞表面に長くとどめる。

APPは特定の内部経路を通る過程でAβ42によって切断される可能性が高い。レベチラセタムはAPPをその経路から遠ざけて有害なタンパク質の生成を完全に阻止する。

「一般に30〜50代の脳では有害な経路を回避できる」とサバスは言う。「年を重ねるにつれて防御力は次第に弱まっていく。これは病気ではなく老化の一部だ」

「だがアルツハイマー病患者の脳では、多くのニューロンが迷走してAβ42が産生される。それがタウタンパク質のもつれになって、細胞が死に、認知症を発症し、神経炎症が起きて──手遅れになる」

既に発症した患者の場合、脳が広範囲で取り返しのつかないダメージを受けているため効果は期待できない。「超早期」(検査で異常が検出できる20年以上前)の服用が必要で、遺伝性のアルツハイマー病やダウン症など、既知の高リスク群に最も有効である可能性が高いという。

サバスらは国立アルツハイマー病調整センターの臨床データを分析し、レベチラセタムの服用で認知機能の低下が始まってから死に至るまでの期間が平均数年延びることを発見。ただし、レベチラセタムは体内での分解ペースが速いため「完璧ではない」として、より長期的かつ効果的な改良版を開発中だ。

Reference

Rao, N. R., Santiago-Marrero, I., DeGulis, O., Nomura, T., Goyal, K., Lee, S., Hark, T. J., Dynes, J. C., Dexter, E. X., Dulewicz, M., Ge, J., Upadhyay, A., Fornasiero, E. F., Vassar, R., Hanrieder, J., Contractor, A., & Savas, J. N. (2026). Levetiracetam prevents Aβ production through SV2a-dependent modulation of APP processing in Alzheimer’s disease models. Science Translational Medicine, 18(836). DOI: 10.1126/scitranslmed.adp3984

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