標的は、親子上場とキャッシュリッチ企業
株式の非公開化が進むことにより、残った上場企業の「質」が高まる──これはまさに、東証の企業改革の狙い通りの流れと言えます。投資家にとっても、非効率な企業の淘汰が進み、非公開化に対するプレミアムが引き上げられることは、期待リターンを高める結果となるでしょう。
そこで今後も、親子上場企業やキャッシュリッチ企業などMBOやTOBの可能性がありそうな企業を狙った投資が増えそうです。
親子上場の文脈でよく注目されるのは、イオングループです。親会社であるイオン<8267>の傘下にはイオンフィナンシャルサービス<8570>やイオンモール<8905>など多数の上場子会社を抱えていますが、グループ一体経営の観点から整理統合の圧力が年々高まっています。
そのほか、日産自動車<7201>の経営再建において焦点となる日産車体<7222>や、キヤノン<7751>によるグループ再編の対象とされるキヤノン電子<7739>やキヤノンマーケティングジャパン<8060>などの銘柄群も、TOBの有力候補として時々名前が挙がっています。
現預金と持ち合い株の合計が時価総額を上回る「キャッシュリッチ企業」も、アクティビストにとっては絶好の標的です。例えば、老舗メーカーや地方の有力企業かつ創業者が大株主のケースなど、PBRが0.5倍前後で放置され、膨大な内部留保を抱える銘柄はいまだに散見されます。
こうした企業に対し、市場は「配当を増やすか、さもなくばMBOで市場を去れ」という二択を迫り続けています。2026年も引き続き、TOBやMBOを巡る動きには注目が集まりそうです。
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[筆者]
佐々木達也(ささき・たつや)/証券アナリスト、金融ライター
金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。
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