(本文11段落目のオランダ中央銀行前総裁の名前を「ノット」から「クノット」に訂正します)

[フランクフルト 18日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が来年4月の仏大統領選前に退任することを希望していると、英紙フ⁠ィナンシャル・タイムズ(FT)が関係筋の話として18日に伝えた。マクロン仏大統領がECB総裁の後任選びに関与できるようにするため、2027年10月に任期が満了する前に退任する意向という。

仏大統領選挙で極右が勝利した場合、次期ECB総裁の人選が複雑になることが懸念されている。

FT紙は、ラガルド氏は具体的な退任時期についてはまだ決定していない⁠が、マクロン氏とメルツ独首相がECB総裁の後任選びで重要な役割を果たすことを望んでいると報じた。マクロン大統領は3期目の出馬はできない。

フランス極右政党、国⁠民連合(RN)のバルデラ党首は、マクロン大統領が退任後も影響力を維持できるよう「民主的な権力掌握」を企てていると非難した。

ユーロ圏21カ国の首脳は理論上、フランスが反対する候補者を総裁に選出できるが、フランスはEU第2位の経済大国であり、これまでフランス側の了承なしにECB総裁が選ばれた例はない。

報道を受けてECB報道官は、総裁は職務に集中しており退任について何ら決定していないと述べた。

ECBのこの反応は、ラガルド氏⁠に関するこれまでのコメントから変化している。昨年にFTが総裁早期退任の可能性を報じた際、ECBは「(同氏は)任期を全うする決意だ」と述べていた。

ラガルド氏退任の可能⁠性に対す⁠る市場の当初反応は限定的。総裁交代による政策の大幅な転換を市場は予想していないことを示している。

野村のエコノミスト、アンジェイ・シュチェパニアク氏は「ECBは合意形成によって金融政策を決定する。ラガルド氏の後任が誰であれ、メディアで報じられているような人選になればECB運営を根本的に転換する可能性は低い」と述べた。

来年には専務理事のフィリップ・レーン氏(チーフエコノミスト)とイザベル・シュナーベル氏も任期切れとなるため、ラ⁠ガルド氏が早期退任すれば欧州首脳がECB人事を一括して行う可能性もある。特にユーロ圏主要国のフランス、イタリア、ドイツは事実上、専務理事を常時出しているためだ。

現時点では正式な候補者はいないが、オランダ中央銀行前総裁のクラース・クノット(訂正)氏や、国際決済銀行(BIS)のパブロ・エルナンデス・デコス総支配人、ドイツ連邦銀行(中央銀行)のナーゲル総裁の名前が挙がっている。

シュナーベル氏も総裁職に興味があると述べているが、専務理事の任期は更新できないため候補となれない可能性がある。

キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ケニンガム氏は「有力候補者は全員が主流派の中央銀行関⁠係者だ」とし、別の後任候補がいるとしても似たような経歴の持ち主であることは間違いないとの見方を示した。

フランス銀行(中央銀行)は先週、ビルロワドガロー総裁が任期を1年以上残して6月に退任すると発表している。

ピクテ・ウェルス・マネジメントのマクロ経済調査責任者、フレデリック・デュクロゼ氏は、右派あるいは左派の影響力を排除する人選をすれば意図せざる結果を招く可能性があると指摘。「欧州エリート層がECBをコントロールするとのシグナルとなりEUにとって逆効果になるかもしれない」と述べた。

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