国際社会にARSAの人権侵害注視を訴え

国連安全保障理事会でもミャンマー政府代表が「ロヒンギャ問題では(国際社会の一部は)一方の言い分だけを聞いて、ARSAの残虐な行為を知る努力をしていない」と実情を嘆き、実態の把握に乗り出すよう訴えたこともある。

アムネスティ・インターナショナルの危機対応理事ティラナ・ハッサンさんは「ミャンマー軍によるロヒンギャ族弾圧とともに我々の調査に基づくARSAによる残虐行為も無視できない。もっと注目されるべきである。そして独立した調査機関によってあらゆる人権侵害は徹底的に調査されるべきである」と報告書で訴えている。

とはいえロヒンギャ族の武装組織によるヒンズー教徒への虐殺が明らかになったことで、ミャンマー国軍によるロヒンギャ族への人権侵害が矮小化されたり、免罪されたりするものでは決してない。

そのうえでヒンズー教徒が直面している現実にも国際社会は注視するべきだ、と今回の報告書は警告しているといえるだろう。

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[執筆者] 大塚智彦(ジャーナリスト) PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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