ここに描かれているのは、なんとか現状を乗り越えようと懸命に生きる女性たちの姿である。前向きに努力しているのに、それを許さない。そんな社会の歪みに問題があることを指摘しているからこそ、説得力がある。

 ところが私の知るその女性についていえば、20代のころから40代後半になる現在までずっと、「怖くて働けない」と言い訳のように繰り返しながら、どっぷり両親に依存しているのである。親もまた、そんな娘に危機感や疑問を抱いていないように見える。

 本書に登場する女性たちが懸命に生きようとしている一方、努力しようという意思を見せないその彼女のようなタイプもいる。だとすれば、ここに描かれていない現実は、もっと深刻なのではないかとも感じてしまうのである。


『ひきこもる女性たち』

 池上正樹 著

 ベスト新書

[筆者]

印南敦史

1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に、「ライフハッカー[日本版]」「Suzie」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、多方面で活躍中。2月26日に新刊『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)を上梓。