<40年以上前の衝撃的な殺人事件を題材にした作品『キャンディ 隠された狂気』と『ラブ&デス』が続けて登場。視聴者の理解を超える凄惨な凶行をリアルに描く難しさ>

「キャンディ・モンゴメリー事件」を題材にしたドラマシリーズがこの1年で2本配信されたのは、全くの偶然だろう。

しかし、40年以上前にテキサス州で起きた衝撃的な殺人事件をめぐる物語に、制作者も視聴者もこれほど魅了される理由は明白だ。

どれだけ証拠を並べても、陪審員がどのような評決を出しても、いちばん知りたい答えは永遠に見つからない。

あの陽気な主婦が、小さな町でメソジスト教会の活動に励み、暴力沙汰の経歴もないあの小柄な女性が、教会の仲間で一時は親しかった女性に41回もおのを振り下ろして惨殺した。いったい、なぜ?

キャンディ 隠された狂気』(ディズニープラスで配信)と『ラブ&デス』(U-NEXTで配信)は、どちらも事件についての詳細な報道を基にしている。しかし事実に忠実な2つのドラマが、中心人物については驚くほど異なる解釈を示す。

『ラブ&デス』は加害者のキャンディ・モンゴメリーだけでなく、被害者のベティ・ゴアにも視聴者の共感を誘おうとする。

調理器具が並ぶ台所でキャンディが無表情でハンバーグ用の肉をひき、卵を割るといった場面が何回も出てくる。これは家事のむなしさに溺れる主婦の姿だ。教会のピクニック、バレーボール大会、子供の課外活動、クッキー作りと、健全な日課を精力的にこなす姿がことさら強調される。

脚本のデービッド・E・ケリーはドラマ『アリー・myLove』や『ビッグ・リトル・ライズ』など、こぎれいな中流階級の女性を、その時代特有の問題を抱える普通の女性として描くのが得意。

今回はおのを振るう殺人者だから、それは難しいところだが、実際はカーリーヘアだったキャンディの髪形を緩やかなウエーブに変えたのは、そうした挑戦の第一歩にすぎない。

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