<タスニームさんは死の1年前に、名誉殺人を非難する投稿をしていた。オーストラリアで子供に良い教育を与えたいという彼女の願いは義父の暴力によって打ち砕かれた>

またもパキスタンで名誉殺人の犠牲者が出た。被害者はオーストラリア人でパキスタンに住む30代のサジダ・タスニームさん。3人の子を育てる母親だ。

子供の目の前で繰り広げられた惨劇

以前はオーストラリアのパースに住んでいたが、夫のアユブ・アフマドにパキスタンへ移り夫の両親と同居するよう強要されたという。(BBCウルドゥー放送)

タスニームさんは子供の教育方針をめぐり義父ムフタル・アフメドと揉めていたとされる。パキスタンにいるよりも、オーストラリアへ戻りより良い環境で質のいい教育を受けさせることを希望していた。

これにパキスタン人の義父は猛反対。孫が非ムスリムの国にいれば、自分たちのアイデンティティと宗教を失ってしまうから「異教徒の土地に孫を置くことはできない」と言った。子供たちの目の前であることもかまわず、口論を繰り広げた末に手が出た。

義父は、タスニームさんが子供を連れてパースに移住する計画を知り、パスポートを没収したのちに、斧で襲いかかったとされている。6月11日にパキスタン北部のサルゴダ市近郊の住宅で発見されたタスニームさんは猿ぐつわをはめられた状態で息絶えていた。

ガーディアン紙によると、その日の午後2時前にこの家を訪れた、タスニームさんの父親が、娘が義父によって斧で頭を殴られているのを見たと警察に話した。父親は「身の危険を感じ、動けなかった」そうだ。また、タスニームさんは毎日のように「オーストラリアを忘れろ」と言われ、義父から日常的に暴力を受けていたと言う。

タスニームさんの夫は事件当時、バーレーンでエンジニアとして働いていたため不在だったと伝えられている。

パンジャブ州警察は、タスニームさん殺害の容疑で義父ムフタル・アフメドを逮捕、起訴した。

自分のような苦しい思いをさせたくない

我が子のためを思ったが故の行動で殺されてしまったタスニームさん。子供は、息子と2人と娘が1人、末っ子はまだ3歳だ。

タスニームさんの友人のナジア・メシアさんは「この胸の痛みをどう処理したらいいかわからない」と言った。「彼女はいつも私を助けてくれた。前向きで美しい心の持ち主でした」

australian-woman-father-law220624nww01.jpg
Photo via Facebook

「タスニームさんは自分の子供たちにオーストラリアで高等教育を受けさせ、自分と同じような目にあって欲しくない」と望んでいたという。パキスタンでの生活は困窮していたそうだ。

子どもたちは現在、パキスタンのタスニームさん側の家族の元にいる。

子供たちは、祖父が母を殺す悲劇に直面し、動揺している様子で、母親のいない新しい生活に適応していない。事件がトラウマになっているそうだ。

奇妙な偶然