回想録でコンウェイは、ある出来事を得意げに振り返る。トランプの集中力はスライド5枚分だとする「上級顧問たち」の予想を裏切り、パワーポイントを使った彼女のプレゼンを大統領は25分間飽きずに見ていたというのだ。

こうした逸話がどれほどトランプをまぬけに見せるか、コンウェイほどの切れ者が気付かないはずはない。

それでもコンウェイが、政権の機能不全をリーダーの責任に帰することはない。有権者が「ビジネスマン」と期待して票を投じた男が無能だったとは書いていない。

『ヒア・イズ・ザ・ディール』は恩人の欠点が目に入らない女の妄想とも、政治コンサルタントのPR本とも読める。本気で同業の男どもが憎いのか、商売敵を蹴落としたいだけなのか、噓の達人コンウェイの真意は分からない。

クシュナーを見限る一方でマイク・ペンス前副大統領にこびを売り、その「明晰な保守主義」や「中西部の良識」をたたえるのも気になる。彼女が次の共和党大統領候補を誰とみているかは明らかだ。

コンウェイを信用するのは愚かだ。だが、彼女を見くびるのはもっと愚かだ。

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