<新しい航空燃料を使い、ツアー参加者が航空機での移動時に排出する二酸化炭素を削減する「サステナ島旅ISHIGAKIJIMA」が実施された。環境負荷低減、地産地消......。このツアーは何のために企画されたのか>

3月16日、バイオマスや廃食油、排ガスなどを原料とする新たな航空燃料SAF(Sustainable Aviation Fuel)を使用し、ツアー参加者が航空機での移動時に排出する二酸化炭素を削減する国内初となる試みが、羽田空港―新石垣空港間で実現した。

SAFは二酸化炭素排出量を従来のジェット燃料と比べて約8割も低減する新燃料だ。

ANA Green Jetの機体の一部には、空気抵抗を減らし燃費を改善させるサメ肌加工フィルムを貼付したほか、ヴィーガンレザーを使用したヘッドレストカバーを客席に採用するなど、SDGsを意識したマイナーチェンジが施されている。

これは、沖縄県石垣市が主催したサステナブルツーリズム「サステナ島旅ISHIGAKIJIMA」のプランに含まれた試みでもあった。

――いや、ただプランに含まれたのではなく、離島旅のサステナビリティを改めて考えると、欠かせない1つのピースだったと言えそうだ。

サステナ島旅は、石垣市が2021年から10年計画で進める「第2次観光基本計画」のモデルケースの1つとして実践に移したもので、3月16日から3泊4日、もしくは4泊5日で開催され、30人ほどが参加した。

石垣島の雄大な自然環境や歴史文化を未来につなげるため、カーボンニュートラルや環境負荷の低減、地産地消などを意識したサステナブルツアーとなっている。

「単に理念を掲げたり理想論を議論したりするのではなく、10年後も視野に入れたサステナブルな観光のあり方を提示したかった」と、石垣市企画部観光文化課の玻座間(はざま)保幸課長は振り返る。

日本国内でも、2030年までに航空燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標が政府によって設定されている。

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2021年から運用されている、石垣市役所の新庁舎。沖縄の伝統的な「赤瓦屋根」をモチーフに、建築家・隈研吾氏が設計を担当 Photo: Tomohiko Ando

「いずれ立ち行かなくなるという危機感があった」

「サステナ島旅ISHIGAKIJIMA」では、冒頭のSAFを利用した航空機に加え、石垣市に生産拠点を構えるユーグレナ社のバイオ燃料を使用した観光バスで島内を移動する。

漂着ゴミの現状を考えるとともに海の美しさを未来につなげるためのビーチクリーン活動、循環型農業で育てた地産地消ブランド豚を使用したディナー&伝統民謡ライブなど、島の自然・文化を体験することができるアクティビティが用意された。

参加者に対し、島の現状を理解しながら「これから」を考えてもらう仕掛けだ。

東京から約2000キロ、大阪から約1600キロ離れた石垣島。

「そもそも、航空機しか交通手段のない離島に観光で訪れること自体が、サステナブルと逆行してるじゃないか、という視点があった。それだけに、SAFを利用した航空便は『サステナ島旅ISHIGAKIJIMA』としてマストだった」(玻座間課長)

八重山諸島全体では1日あたり1400キロ近いゴミが漂着
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