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東西線の落合駅-南砂町駅間の各駅に設置された"早起きキャンペーン"の端末。IC乗車券をタッチすることでメダルを獲得できる仕組みになっている(撮影:筆者)

 東京メトロ各線の混雑率は現在、180%以下におおむね抑えられているが、東西線だけは事情が違う。東西線は混雑率が180%超になっており、東京メトロの悩みの種になっていた。しかも、東西線の沿線や、相互乗り入れをしている東葉高速鉄道の沿線はニュータウン開発で人口が増え続けている。ほかの地域では人口減少という問題を抱えていても、東西線だけは人口増という嬉しい悲鳴をあげていたのだ。

 そうした事態を受けて、東京メトロは東西線の飯田橋駅-九段下駅間に折り返し線を新設したり南砂町駅に線路・ホームを増設したりするなど、輸送力の増強を図っている。しかし、ハード面の整備に着手しても、それらが工事を終えるのは2019年以降になる。その間、東京メトロとしても混雑対策を怠るわけにはいかない。そこで打ち出されたのが、"東西線早起きキャンペーン"だった。

 今春に実施された"東西線早起きキャンペーン"は、PASMO、Suicaなどの交通系IC乗車券で東葉高速鉄道の東葉勝田台駅-東西線の門前仲町駅間で乗車し、東西線の南砂町駅-落合駅までに降車、または乗換する人が対象としている。朝のラッシュ時より前の時間帯に駅に設置されている専用端末にIC乗車券をタッチするだけで、最高2万円の商品券またはクーポン券の抽選に応募できる。

 東京メトロは特典をつけてでも時差通勤を浸透させて、通勤ラッシュの混雑を緩和させようとしていた。"東西線早起きキャンペーン"の参加者は、約1万5000人。これが多いのか少ないのか、いまのところ判断することは難しいが、ともかくソフト対策で混雑の緩和に取り組むしかないのだろう。

 一方、時差通勤以外のソフト対策としては、ITを使ったものもある。

 JR東日本は、山手線の号車ごとに混雑率が一目でわかるアプリを2014年にリリース。通勤時間帯は特に顕著になっているが、乗客は階段付近の号車に固まる傾向がある。こうした偏重を少しでもならすことができれば、同じ乗車率でも乗客の不快感は低減する。JR東日本がリリースしたアプリには、そうした狙いも含まれている。

 現在、同アプリは山手線のみの情報提供にとどまっているようだが、今後は各線にも広がっていくだろう。

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JR東日本は、山手線に混雑度がわかるアプリを導入。号車ごとの混雑を少しでもならそうと試行している。現在、団塊の世代が定年退職したことで山手線の利用者は減少傾向にあり、山手線の混雑率はピークを過ぎている。そのため、山手線では6扉車を廃止し、全車4扉車に切り替えている(写真は6扉車のE231系500番台、撮影:筆者)

 鉄道会社は混雑緩和のために試行錯誤を繰り返している。そうした努力によって、"痛勤ラッシュ"とも揶揄された朝の風景は、近い将来に消えてなくなるだろう。

 小池都知事が満員電車をなくそうと意気込むことで、それら鉄道会社の満員電車対策が勢いを増す可能性は高い。そうなると、これまで以上に満員電車は早くなくなっていくのかもしれない。鉄道会社の地道な取り組みと小池都知事の手腕に期待したい。

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