それまでは海外に住む日本人が教室を開いていたが、これをきっかけに現地の指導者による、現地の子どもたちが学ぶ教室がKUMONとして急速に広まっていった。現在、海外の教室は約8400カ所あるが、そのほとんどは現地の人が指導者となり、フランチャイズ制によって運営されているという。

 なぜ海外でこれほどまで共感を呼んでいるのだろうか。公文教育研究会の広報担当者はこう答える。

「子どもが変わるという手ごたえと、それによって生じる指導者のやりがいです。子どもたちは易しい問題から解いていきますが、学校で習っていないこともできるようになると、未経験のことに対しても"チャンレジしよう"という気持ちが芽生えます。そして、自ら取り組む力が身についてくると、生活態度まで変わります。子どもの変化や成長が目に見えてわかるということに、共感を覚えてもらえているのではないでしょうか」

 国や文化の違いを問わない"質の高い教育"ということだろう。KUMONが広く支持されている理由に「日本の教育法だから」といった要素はなさそうだ。実際、教育サービスは目に見えないものなので、世界中どこでも同じ質のサービスを提供できるかどうかが課題だという。

 KUMONにおける指導者の役割とは、子どもがスモールステップで進んでいけるように、今日はどんな教材を何枚渡せばいいのかを考えるところにある。それを正しく行うためには、子どものことをよく観察しなければいけない。

「"悪いのは子どもではない"、"子どもから学ぶ"、"もっと良いものは常にある"の3つが、世界中で共有されている私たちの価値観です」。子どもができないことがあったら、それは子どもに合わせた指導ができていないことが要因と考え、子どもをもっとよく観察し、どこが「ちょうど」のところかを見極める。そして、何事も常に改善し続けなければいけないというわけだ。

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教室を構えるのに大きな投資が不要なのも、KUMONが海外で広まった理由のひとつ。自宅やテナントなど、さまざまな形態がある。写真はブラジルでの個人宅を使った教室(写真提供:公文教育研究会)

教材をコピーされてもマネできない理由

 現在、KUMONは海外に5つの地域本社(北米公文、南米公文、アジア・オセアニア公文、中国公文、ヨーロッパ・アフリカ公文)があり、その下に99のリージョナルな拠点を持つ大企業となっている。海外で働く社員は約2000人、そのうち日本人は約30人ほどしかいない。

 日本人が現地の社員にKUMONの理念や考え方を伝え、現地の社員が指導者に伝授していく。仕組みとしては日本と海外を問わず、1年間に一定数の単位を取らなければいけない制度をはじめ、指導者が学び合う風土がある。これがサービスの維持・向上につながっている。

【参考記事】和食ブームだけじゃない、日本の料理教室がアジアで快進撃の理由

日本でも海外でもノウハウは共通