しかしながら、こうした中国企業のビジネスモデルは地元企業から反発を招いている。企業経営者700人を代表する「シンガポール公正賃貸テナント連合」は6月、ビジネス向け交流サイト(SNS)リンクトインに投稿した声明で「中国から中小企業が進出すると、しばしばシンガポールの大企業よりも経営規模が大きく、零細企業は競争条件が平等でない」と述べた。

<理想的な玄関口>

伝統的に東西文化の橋渡し役であるシンガポールの人口は610万人で大半が中華系。中国企業にとって理想的な海外展開の玄関口とされている。シンガポールは富裕層が集まる国でもあり、拠点を持つことはブランド戦略上重要だという。

茶百道のジア氏は「シンガポールでブランドを築ければ、マレーシア、ベトナム、インドネシアにさえも進出可能だ」と話した。

中小の中国ブランドも潤沢な資金を持つ投資家から支援を受け、好立地を地元企業より高額でしばしば借りている。

たとえば、上海のミシュラン一つ星の「甬府」は昨年、1000万シンガポールドル(約7億7200万米ドル)を投じてシンガポールに進出した。この資金は改装費とともに、家賃、人件費、ワインセラーなど約5年間のその他の運転資金も補うという。

しかしながら、不動産会社ナイトフランクの個人部門責任者イーサン・スー氏によると、大型中国企業の進出が商業地の賃料を押し上げており、特に人通りの多い地域ではスペースの供給件数が細っているという。

さらに、料理評論家KFシートー氏は、中国レストランの急増が「シンガポールの食文化の有機的な構造を弱めている」と批判している。

こうした要因があっても、中国企業が本国の価格競争から逃避しようと押し寄せてくる流れは止まらないだろう。

[ロイター]
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