差し迫った打撃が最も深刻なのは、米国内に製造拠点を持たず、拠点を設ける資金力もないフィリピンをはじめ東南アジアなどの中小規模の半導体供給業者だろう。対照的にアリゾナ州に稼働中の工場を有するTSMCは3月、米国への投資額を1000億ドル増額し、合計1650億ドルにすると発表した。これはサムスン電子が昨年表明した約450億ドルを大きく上回る。
しかし、トランプ政権は特に中国に対する優位性を保つため、米国に高度な製造能力を導入することに本気で取り組んでいる。従ってさらに多くの工場を約束するだけでは不十分である可能性が高い。
アップルの米国内への投資や取り組みは今のところ半導体やガラスといったiPhoneの部品に焦点が当てられており、トランプ氏の「米国製iPhone」の要求を満たすには至っていない。
台湾当局はこれまでに、TSMCが2ナノ(ナノは10億分の1)メートルと1.6ナノの最先端半導体を米国で来年生産することはないと明言している。トランプ政権はこれらの半導体の米国内での生産を優遇措置の前提条件とするか、少なくとも研究開発拠点の米国への移転を迫る可能性がある。半導体メーカーはまだ完全に安心できる状況ではない。
●背景となるニュース *「半導体に100%の関税」、トランプ氏表明 国内生産なら優遇 *アップル、米に1000億ドル追加投資 iPhone関税回避狙い (筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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