<リコール成立による巻き返しは叶わず、ねじれ国会は今後も続く。浮上するのは、親中派野党が主導権を握る政局への懸念と、米中対立の狭間で変容する台湾政治のリアルだ>

台湾の立法院(国会)の親中派国民党議員24人を罷免しようとするリコール投票が7月26日、全て否決された。昨年1月の立法院選挙以来、国民党など野党が過半数を占める「ねじれ」議会に苦しんできた与党民進党にとって、リコールが成立して補選で6議席獲得すれば過半数を取り戻せるはずだったが、その可能性はなくなった。

台湾・清華大学の小笠原欣幸教授に失敗の原因と今後の影響を聞いた(聞き手は本誌編集長・長岡義博)。

【台湾は親中に傾いた?】リコール “全敗” で与党大打撃の背景/「中台統一支持」は伸びてない/米中関係で読み解けない「内部のロジック」/中国の工作はロシア流/「選挙の神様」小笠原欣幸に聞く台湾政治のリアル - YouTube

──24人全員が不成立、という衝撃の結果だった。

台湾メディアでも数人は罷免されるのではないかという観測が出ていたので、現地でもかなり驚きだった。

──頼清徳(ライ・チントー)政権への反発が根底にあった、ということか。

昨年1月の立法院選挙で選ばれた議員をリコールで覆すのはおかしいのでは、と台湾の多くの人が根底で思っていた。リコールが成功して民進党が過半数を回復すると、頼政権が好きなようにやれてしまう。そう国民党は訴えた。

──リコール同意票(42.5%)と不同意票(57.5%)の比率はどうみる?

投票が行われた24選挙区は国民党が強いので、意外ではない。これを評価するためには、昨年の総統選の票と比較する必要がある。

リコール反対票は昨年の民衆党の柯文哲(コー・ウェンチョー)の票と国民党の候友宜(ホウ・ヨウイー)の票を足した比率より減っているが、リコール賛成票を上回っている。国民党と民衆党が選挙協力をしたからだ。国民党が小さい民衆党をしっかり抱きかかえることが選挙で勝つには重要、と証明した数字だ。

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親中勢力が台湾で盛り返している
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