<トランプの気まぐれな政治、膨らむ債務、そして通貨への信頼の揺らぎ。アメリカがもはや国際秩序の「守り手」でなくなった今、アジアと欧州に求められるのは「自ら秩序をつくる」決意だ>

さあ大変、今は世界中の国が同時多発的なショックに見舞われている。アメリカの気まぐれな関税政策で世界の貿易システムには激震が走っているし、中東での軍事衝突が重要な貿易ルートと原油の生産に支障を来すリスクを高めてもいる。

それだけではない。ドナルド・トランプ米大統領が推す自称「ビッグでビューティフル」な予算案は大幅減税と社会支出の削減を抱き合わせて高所得者を優遇するもので、既に脆弱なアメリカの財政基盤を悪化させるのは必至だ。そのためドル建て資産の安全性に対する懸念も高まっている。

こうしたショックからは誰も逃れられない。だからアジアも欧州も、まずはそうしたリスクを軽減するための協力を優先すべきだ。どちらもドル建ての取引や資産への依存度が高い。アジア諸国の多くでは外貨準備の大半が米ドルであり、貿易決済のほとんどがドル建てだ。

言い換えれば、世界を揺さぶる最近の混乱は、アジアと欧州が構築してきた経済モデルの基盤である自由貿易そのものを脅かしている。かつて国際秩序の「ルール決定者」だったアメリカは、今や「ルール破壊者」になりつつある。アメリカの財政悪化とトランプの恣意的な政策が相まって、ドルの信頼性は損なわれている。

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WTOの自由貿易の基本ルールを維持すること