その一方で、経済が低調で先の読めない時期に石油価格が非常に低くなると、どのような悪影響があるのか、ということは分かりにくい。

 だがアナリストらは、企業はコスト削減分を投資に回さず、消費者も節約分を消費拡大ではなく債務返済に充てることを選んでいる、と指摘する。

 「燃料価格の低下が、企業・家計の支出増大に回っているという証拠は、これまでのところほとんど見られない」と語るのは、NNインベストメント・パートナーズ(ブリュッセル)で上級ポートフォリオマネジャーを務めるロバート・デービス氏。

 「むしろ、家計は用心深く燃料費の節約分を債務の返済に回しているように見える。すると、燃料価格の低下は消費ブームを支えるのではなく、単にデフレをもたらすということになる」と同氏は語る。

 さらに、石油価格の低迷が長引いているせいで、石油会社では膨大な評価損が発生しており、エネルギー関連企業の破綻が生じた場合の連鎖的な悪影響への懸念も提起されている。

原油と株の同時安

 原油価格とアジアの主要株式市場のトレンドを少し見てみよう。

 2007年と2008年に原油価格が137%上昇すると、アジア地域におけるコモディティ輸入国である韓国、日本、香港の株価指数は、32%─58%下落した。

 その後、2014年6月から2015年4月にかけてブレント原油が45%下落すると、日本、韓国、香港の株価は10─19%上昇した。

 オーストラリアやマレーシアなどコモディティ輸出国を含む、より範囲の広い株価指数であるMSCI(日本を除くアジア太平洋株指数)は、5.3%上昇している。

 だが2015年末以降、原油価格と株価は同じ方向で推移している。石油価格がほぼ40%下落して1バレル29ドル以下になるとともに、日経平均、香港ハンセン指数、韓国の総合株価指数はいずれも9─14%下落した。

 これら3つの指数は現在、ブレント原油と約85─90%の相関を示している。

材料は燃え尽きたか

 投資家の株式市場からの撤退の副産物としてドルが強力に買われ、ドルの主要6通貨に対するドル指数は過去3カ月で4.4%上昇した。