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スペースシャトル「コロンビア」の船内でホフマン(左、1996年3月) ARCHIVE/GETTY IMAGES

マスクの構想は「非現実的」

課題はこれだけではない。人間を火星に送って長期間滞在させるためには、大量の食料および酸素を人間と一緒に運び込むか、火星で食料や酸素をつくり出す方法を開発する必要があると、専門家は語っている。

あるいは、火星と地球が最も接近する26カ月ごとに、必要な物資を搭載したロケットを火星に送るというアプローチもあり得ると、ピッツは言う。「ただし、大量の物資を送るためには、火星に軟着陸できなくてはならない。問題は、そのような能力がまだないということだ」

ピッツは、スペースXの大型宇宙船「スターシップ」(マスクはこの宇宙船を火星着陸に用いたいと考えている)を称賛するが、懸念材料もある。スターシップの飛行試験は、これまで8回実施されたうちで4回しか成功していない。直近では3月に打ち上げ後に空中分解し、飛行試験は2回続けて失敗している。

「スターシップの開発計画は非常にうまくいっているが」と、ピッツは言う。「技術面での有効性がしっかり実証されたわけではない。荷物を全て積んで打ち上げたことはまだないし、そもそも月や火星には、この宇宙船を受け入れるための技術的なインフラが存在しない」

アリゾナ大学のクリス・インピー教授(天文学)は、早ければ28年末に火星への有人飛行を行うというマスクの構想を「非現実的」と評する。安全に実行するには、大量のテストと修正作業が必要だからだ。

マスクは株価を上げるために話を盛っているだけ
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