<日本の「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録を記念し、ブリュッセルでその認知度向上を目的としたイベントが開催された>

2024年12月に日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録された。これを記念し、既にユネスコ無形文化遺産に登録されている「ベルギービール文化」の地、ベルギーの首都ブリュッセルで、「伝統的酒造り」の認知度向上等を目的としたイベントが2025年2月3日に開催された。

ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」PRイベント

日本酒造組合中央会の発表によると、2024年(1月~12月)の日本酒輸出実績は金額・数量ともに前年度を越えた。このように海外での日本酒等の人気が高まるなか、国税庁と日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会の主催によって、EUの中心地でイベントが開催された。

会場になったのは、ブリュッセルのランドマークとして知られているコリンシア ホテル ブリュッセルのエリザベスホール。現地のレストラン関係者やソムリエ、ディストリビューターら70名以上のゲストが参加した。

ファシリテーター兼パネリストを務めたのは西田さおり。ベルギー在住の日本酒ソムリエで、日本食研究家や日本食のコーディネーターとしても活躍する。さらに、ベルギーで日本酒バー・レストランを経営した経歴を持つなど、現地の食文化に造詣が深い。

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ヨーロッパの食文化に詳しく、ベルギーで日本酒の啓蒙活動や情報発信にも携わる酒ソムリエの西田さおり。

開会に先立ち、駐ベルギー特命全権大使である三上正裕によるスピーチが行われた後、第1部のセミナーが始まった。最初に登壇したのは、日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会会長であり、小西酒造の15代当主を務める小西新右衛門。

小西からは『伝統的酒造りの基本概要、文化・歴史・技術的価値』に関する基調講演が行われ、自然発酵の技術を用いた日本酒の生酛造りに対して、ベルギーには空気中に浮遊している酵母を利用して自然発酵させるランビック・ビールがあることを挙げるなど、日本酒とベルギービールとの類似点にも触れられた。

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駐ベルギー特命全権大使の三上正裕。2026年は日本ベルギー外交関係樹立160周年を迎えることに触れ、両国の醸造文化が広まることに期待を寄せた。

また、2025年4月13日から開催される大阪・関西万博について、「ぜひ来日していただき、その際には日本各地の酒蔵にも立ち寄っていただきたい」と講演を結んだ。

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日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会会長であり、小西酒造株式会社の代表取締役社長を務める小西新右衛門。

続いて、ベルギービール協会のCEOであるクリシャン・マウドガルから、『ベルギービール文化の基本概要、その観点から見た日本酒の可能性と親和性』についての基調講演が行われた。

ベルギーではブドウの栽培に適した気候に恵まれなかったため、スタイルや香り、色、味わい、アルコール度数などにおいて多種多様なビールが生まれ、独自のビール文化が花開いた。隣のドイツではビール純粋令によって、麦芽とホップ、水、酵母しか使うことができないのに対して、ベルギーではフルーツやスパイスも使うことができる。

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