<診断遅れを防ぐ新たな可能性、英国の研究チームのデータ分析で見えてきた発症リスク要因と診断の可能性とは?>

強直性脊椎炎(AS)は炎症性関節炎のうち2番目にかかりやすい病気で、多くは10代や成人若年期に発症する。

症状は背中の痛みやこわばり、関節の炎症、腱が骨に付着する部分の炎症(付着部炎)、だるさや疲れやすさだ。こうした症状が時間の経過とともに進行すれば、脊椎固定術が必要になることもあり、特に若者の場合は生活の質(QOL)が大きく左右される。

残念ながら、通常はX線検査が必要になるASの診断には、発症から最長10年間もの時間がかかる。進行が遅く、決定的な検査法が存在しないことが理由の一部だ。

だが早期に発見できれば、極めて大きな違いにつながる。変性を食い止め、高いQOLを保つことが可能になる。

ならば、一般開業医や病院で収集される医療データと、高度な機械学習手法を組み合わせて、初期段階のASを特定することはできないか──。アルゴリズムを用いて標本データを分析する機械学習では、明示的なプログラミングなしに予測や決定を行える。

筆者ら研究チームは、英スウォンジー大学医学部にある国家データバンクから抽出した匿名データを、男女別に分析。ASの患者を特定し、診断歴のない対照群と比較した。

その結果、男性の場合は腰痛や眼内のぶどう膜炎、20歳未満での非ステロイド性抗炎症剤の使用が、AS発症リスクの大きさと関連していることが判明した。

一方、女性はASの発症時期がより遅く、複数の鎮痛剤を使用する場合が多い。これはおそらく、女性のほうが誤診されている可能性が高いことを示している。

医療の「守秘」がネック

機械学習は、ASを発症しやすい人の特徴を理解するツールとして有益だ。有病率を人為的に高めたテストデータセットでは高い精度を示す。

ところがASがまれにしかいない一般の人を対象に行うと、最も優れた機械学習モデルでも、陽性適中率(検査陽性者における真の陽性者〔患者〕の割合)はわずか1.4%。対象者を絞り込み、予測率を高めて診断を迅速化するには、複数モデルの長期にわたる利用が必要になるだろう。

機械学習モデルが正確で信頼できる結果を導き出せるかどうかは、データの質の高さで決まる。だが、医療データは限定的なものになりかねない。原因はプライバシー保護や情報機密性、標準化できていないことだ。

重要なのは、この分野では機械学習は未成熟だと理解すること。さらなる発展を実現するには、より詳細なデータを収集して予測率や臨床的有用性を改善する必要がある。

それでも、筆者らの研究が示すように、機械学習はAS患者の特定や診断プロセスへの理解促進に貢献すると期待できる。

患者にとって最善の結果を確保するためには、早期発見・診断が不可欠なのは明らか。機械学習がその助けになるはずだ。同時に、現場の開業医にとって、より効果的で効率的な診断の強い味方になるだろう。

The Conversation

Jonathan Kennedy, Data Lab Manager, Swansea University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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