そこから浮かび上がるのが、最後の重要な問いだ。「自由主義の西側」という存在が消えたら、世界はどうなるか。米欧同盟は長らく、ハードパワーとソフトパワー両方の「力」を意味し、世界秩序の根幹である価値観を形成していた。だが現在、世界秩序は混乱に満ちた移行状態にある。

いま欧州が結束できなければ、次のチャンスはない。自らの利益を守り、世界の平和と秩序を確保できる軍事力を備えることが欧州の唯一の選択肢だ。さもなければ、分裂と無能力と脇役的立場に陥るしかない。

それとも欧州は、ロシアが台頭した19世紀前半の時代に逆戻りするのか。米大統領選の結果は、欧州内の全ての選挙を合わせたよりも深刻な影響をもたらすものだった。トランプはアメリカを(悪く)変えるだけではない。欧州の歴史すら左右する。欧州が何もしなければ......。

©Project Syndicate

PS_Joschka Fischer130.jpgヨシュカ・フィッシャー

JOSCHKA FISCHER

左翼活動家から政治家に転身。ドイツ緑の党の中心人物として、ヘッセン州環境・エネルギー相などを歴任した後、シュレーダー政権では連邦外務大臣兼副首相を務めた。
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