「細胞がストレスを受けているというシグナルを、ZAKアルファが代謝システムに送る。すると連鎖反応が起きて、脂肪肝の発症などにつながる」と、ベッカーイェンセンは解説する。

安価で手軽な薬に期待

ZAKアルファを阻止すればシグナルは送られず、脂肪肝など代謝性疾患の進行を防げるかもしれない。

研究チームはマウスとゼブラフィッシュを使って実験を行い、その体内でZAKアルファの働きを止めた。結果として「ZAKアルファを不活性化したマウスは、不活性化しなかったマウスよりもはるかに健康だった」と、ベッカーイェンセンは振り返る。「前者は年を取っても後者より活発で、筋力もあり、何よりさまざまな代謝性疾患を発症しなかった」

ベッカーイェンセンは、「人間の代謝を知る上で、マウスは非常に有効なモデルだ」と言う。「実験では高カロリーで不健康な食生活や運動不足など、現代人のライフスタイルを忠実に再現することができる。マウスも肥満になると、おおむね人間に見られるのと同じ代謝性疾患を発症する」

発見が治療法や医薬品の開発につながることを、研究チームは願っている。

「安価に製造できて経口投与が可能な小分子化合物で、ZAKアルファは阻害できる」と、ベッカーイェンセンは説明した。「脂肪肝を含む代謝性疾患の医薬品開発に取り組んでいる製薬会社が、この新たな知見に広く関心を寄せてくれるものと私たちは期待している」

<ニューズウィーク日本版別冊

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます