この撤退は深刻なリスクを伴う。SDFは最近、政府軍との統合合意に達したが、人員不足と装備の貧弱さが課題だ。米軍が数百人規模で残留し、継続的な支援を提供しない限り、シリア軍の対ISIS能力は低下する恐れがある。

撤退の背景には、米国内の疲弊感がある。長期駐留のコストと成果のバランスが問われているが、早計な撤退はISISの活動活発化を招くとの懸念が根強い。

将来の見通しと提言

ISISの再生は、シリアの安定化プロセスを脅かす最大の要因だ。ISISは領土支配を諦め、ゲリラ型テロにシフトしているが、混乱が続けば再び勢力を拡大する余地がある。2025年の攻撃増加は、その兆候だ。新政権が少数民族の包摂と治安強化に成功すれば、ISISの支持基盤を削ぐことができるが、外部要因が鍵を握る。

米国は撤退計画を見直し、少なくとも2026年以降も数百人の部隊を維持する必要があろう。

また、ISISの再生を阻止するためには、軍事力だけでなく、経済再建と社会統合が必要だ。シリアの復興支援を国際社会が連携し、貧困や失業への対策を強化し、若者がテロの世界に入ることを防止する必要がある。

ISISの脅威はグローバルな問題であり、それへの対策を怠れば、欧米へのテロが再燃するリスクがある。シリアの未来は、国際的なコミットメントにかかっている。

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