ISKPは資金や戦闘員をバルチスタン州に集め、テロ訓練キャンプを設置。パキスタン政府の「黙認」がこれを可能にしたとの懸念も聞かれる。

パキスタンの諜報機関ISIは、過去にラシュカル・エ・タイバ(LeT)やジャイシュ・エ・モハメド(JeM)などのイスラム過激派を対インドを想定した代理勢力として利用してきた歴史があり、ISKPに対しても同様の戦略を適用している可能性が疑われる。

ISKPとBLAの衝突:イデオロギーの対立と現実の戦闘

ISKPとBLAの対立は、イデオロギーの根本的な相違から生じる。ISKPはサラフィ・ジハード主義を掲げ、民族主義や世俗主義を「非イスラム的」と敵視する。

一方、BLAはバルチ人の民族自決を求め、宗教を超えたナショナリズムを基盤とする。この対立は、バルチスタンでの領土争いと相まって、激しい衝突を引き起こした。

具体的な事案として、2025年3月のマストゥング近郊でのBLAによるISKPキャンプ襲撃が挙げられる。この先制攻撃でISKP戦闘員30人が死亡し、ISKPは報復として同年5月25日、メディア部門「アル・アザイム」からビデオ声明を公開。BLAを「世俗的・ナショナリスト・民主主義者」と非難し、全面戦争を宣言した。

以来、バルチスタン州では散発的な戦闘が発生しており、ISKPがBLAの拠点を爆撃したり、BLAがISKPの補給ルートを遮断したりする事例が報告されている。これらの衝突は、バルチスタンの治安をさらに悪化させている。

パキスタン政府から見れば、この衝突は決して都合の悪いものではない。BLAの解体を目指す政府にとって、ISKPの存在はパキスタン政府を利する。パキスタン政府は放置することでBLAに対する間接的な圧力を加えられる。これにより、軍事作戦の負担を軽減し、国際批判を避けられる。

実際、パキスタン国防相の2025年5月の発言では、過去30年にわたりテロ組織を支援してきたことを認め、こうした代理戦略の継続を示唆した。しかし、これにはリスクを伴う。

グローバルテロの懸念と国際社会の対応
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