次に、玄関部分を「玄関土間(どま)スペース」として、靴のまま使える空間としている。これで、玄関で靴を脱ぐべき空間を居室空間に取り込むことができる。

以上2つで、住戸内をフル活用できる。その上で登場するのが3つめの工夫だ。

それは、4つのユニットに分かれた可動収納が備えられ、空間の間仕切りを変更できるようにしていることである。

もともと「LDK」の間取りは収納豊富だ。大型のウォークインクロゼットがあるし、玄関土間スペースにも下足入れ他の収納が並んでいる。

これに加えて、可動収納がある。

4つに分かれた可動収納は底部にキャスターが仕込まれており、出し入れが可能。キャスターを出せば、女性でも簡単に移動させることができる。だから、好みの場所で間仕切りができるし、住みながら間仕切り変更をすることも容易になる。

可動収納の配置でスペースを分けた一例が下の図だ。

sakurai20220819160004.jpg
画像提供:伊藤忠都市開発

可動収納の配置により、ベッドスペースとワークスペースやホビースペース、リビングスペースの分け方を変えることが可能となる。じつに賢い間取りといえる。

「LDK」という間取り名には、未完成な印象がある。いろいろな住まい方ができるので、ご自分で完成させて、という意味を込めて「LDK」と名付けたのかもしれない。

背景には、コンパクト住戸の需要増

このように、提案と工夫に富んだ間取りが増えた背景に、1人暮らし、2人暮らしで分譲マンションを買う人が増えた、という事情がある。従来、ワンルームや1LDKは投資目的で購入されることが多かった。これに対し、今は自ら住む目的でコンパクト住戸を買う人が増えたわけだ。

1人暮らし、2人暮らしは便利な都心部を好む。しかし、東京23区内ではマンション価格が上昇し、広い住戸は購入しにくい。

限られた面積内でコンパクト住戸をつくることが求められるのだが、コロナ禍でテレワークが増える現在、狭苦しい住戸は敬遠される。そこで、これまでにない発想で、ゆとりを生み出すコンパクト住戸がつくられるようになった。

以上が、ちょっと変わった間取りが出現しはじめた理由。今回、紹介した2つの間取りも、便利な23区内、豊島区と世田谷区に立地するマンションのものだ。

このように個性的な間取りが増えれば、マンション探しは楽しくなる。「変わった間取り、大歓迎」という人はきっと多いに違いない。

※当記事はYahoo!ニュース個人からの転載です。

※筆者の記事はこちら