「これは僕の宿命というか、絵を描かなければならない使命を持ってこの世に生まれてきた。死という問題と、形があるものはいつか壊れるという、終末的、ハルマゲドン的な感覚が根底にある。そして、常にその時に描いている作品がベストで、それが遺作だと思って描いている。でも、描き終わったら、こんなんでは駄目だと思い、また描き続ける......。

 

デザイナーから画家になった時は理不尽というか呪われたと思った。でも、今は呪われた人生ではなく祝福された人生だと思うようになった。祝福されるためには、呪いや地獄を通らないといけない。

 

絵を描くのもひとつの信仰というか、からからになった状態で向こうへ行ければ良い。自分の魂が執着を残さないで、向こうへ行けるように、描いて描いて描きむしって、からからになるまで描いていく」

 

優柔不断に育ち、運命が顔前に立ちはだかる度に逆らわず全て受け止め、死の恐怖でさえ、それを取り込むことで乗り越えようとしてきた横尾の生き様は、まさに「よく生きることはよく死ぬこと」「よく死ぬことはよく生きること」を体現している。

 

 

本稿は基本的に作家本人への聴き取りを基に構成。

その他、横尾忠則現代美術館館長補佐兼学芸課長の山本淳夫氏からも話を聞いた。

 

その他参考文献:

『GENKYO横尾忠則Ⅰ A Visual Story 原郷から幻境へ、そして現況は?』国書刊行会、2021年

『GENKYO横尾忠則Ⅱ Works 原郷から幻境へ、そして現況は?」国書刊行会、2021年

横尾忠則『言葉を離れる』、青土社、2015年

「特集 横尾忠則」『美術手帖』、2013年11月号、美術出版社

『豊島横尾館ハンドブック』福武財団、2014年

『冒険王・横尾忠則』、国書刊行会、2008年

『横尾忠則 森羅万象』、美術出版社、2002年

横尾忠則『ARTのパワースポット』筑摩書房、1993年

※この記事は「ベネッセアートサイト直島」からの転載です。
miki_basn_logo200.jpg
【関連記事】